祈り~アレルヤ
が、この状況下では生きて解放されるのは難しい。そう、自分は解放される事なく、敵地で一生を終えるだろう。これが罰だというのなら、甘んじて受けるしかあるまい。いや、受けるべきなのだ。
けれど、願わくば―――。これから罰を受ける身には過ぎたる願いなのかもしれないけれど。
仲間が、無事でありますように…。
眩しいくらい真っ直ぐで純粋で。こんな自分を本気で怒って、受け入れてくれて。強くて、それなのにとても脆くて。見た目だけじゃなくて、その心まで綺麗なティエリアが、どうか、どうか無事でありますように。
こんな時でも。どんな記憶の中でも、ティエリアの声や姿は、アレルヤの胸の中心にある。
それでも、もう、逢えない。この腕に彼を抱き締めることもない。それは心臓が握り潰されるくらい辛いけれど。今の自分が彼に万が一でも逢えるとすれば、彼も同じ状況になっている可能性が高い。こんな風に捕らえられるのなんて、拷問を受けるのなんて、自分だけで十分だ。
ティエリアがそんな事になるくらいなら、それくらいなら、逢えない方がいい。ティエリアが無事なら、それで、良い。
アレルヤは首をゆっくりと動かし、窓の外を見遣る。
そこにはまだ蒼の中を、ゆるりと舞う薄紅色。
ティエリアに繋がる色に、自然銀灰色の瞳から眦へ、溢れる一筋の涙。
アレルヤは薄紅色のそれに、祈る。ひたすらに。
願わくば。
無事でありますように。
彼に祝福あらんことを。
ただそれだけを―――。