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Absolution

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休めるときには休め、休息し心身共に次のミッションまでに回復させるのもガンダムマイスターの重要な役目だと言うスメラギ・李・ノリエガ達クルーの厚意に甘え、つかの間の睡眠を取ったアレルヤは、CBの制服に手早く着替えると、忙しくしているだろうクルー達を手伝うべく私室を出ようとしていた。
 闘いの中で損傷したアリオスの修理は勿論のこと、基本的に人手不足のトレミーでは、探すまでもなくあちらこちらに仕事は転がっている。
 ましてアリオスの修理・整備にしても外装やシステム等は、イアンやハロ達が操るカレンが頑張ってくれるだろうけれど、最終的な調整はパイロットである自分も参加しなければならないのだ。何しろ4機全てが各パイロットのバイオメトリクス認証だけでなく、各々に合わせて調整がされてるのだから。
 そして、ガンダムを駆るにはそれなりの体力、加えて機動力のある飛行形態へ変型も取るアリオスには、かかるGに耐えらながらの高い操縦技術も必要であり、トレーニングも手を抜くことは絶対に許されない。
 基本的にマイスターはCBにおいて、その特異な存在故に各自の体調管理及びスケジュールが優先される。けれど、今はそれを調整してでもやらなければならない事が山のようにあった。     
 休息をしたお陰で体力的には問題ない−−こんな時ばかりは回復の早い超兵の身体に感謝してしまう−−のだから、いつまでものんびりとしてはいられないのだ。
 そう考えながらドアに触れると、まるでそれを見ていたかのようなタイミングで通信を知らせるコール音が鳴った。鑑内に鳴り響くエマージェンシー・コールとは違うので、襲撃では無いようだけれど。
 ならばミッションプランの連絡か。これだけミッションを重ねなければならないとは…。アレルヤは表情を引き締めながらも、4年経っても変わらない世界に、いや、アロウズのやり方に思わず溜息を漏らした。
「はい、アレル…」         
「アレルヤ・ハプティズム。至急、食堂へ来い」 
「ティエリア? え、食堂?」
 オープンした回線の、私室の壁面に設置されている通信モニターに映し出されたのは、通常ミッションの連絡を寄越すブリッジクルーやスメラギではなくティエリアで、しかも集合場所はブリーフィングルームでもなく食堂。
 常とは違う内容をアレルヤは訝しむが、最後まで名乗る間も疑問を問い質す間もなく、通信はブツリと容赦なく切断されてしまった。
 ティエリアらしいと言えば、かなりティエリアらしい。4年という自分が不在だった間に、随分雰囲気が柔らかく、表情も豊かになった彼だけれど、この辺りの無駄を嫌う性格は余り変わっていないようだ。
 通信が切れた以上、ここで悩んでいても仕方がない。ティエリアや鑑内の様子から、現段階ではトレミー内で危険若しくは緊急性があるとは思えないが、とにかく行ってみようとアレルヤは急いで部屋を後にしたのだった。


****


 重力下から微重力下へ。そしてガイドレールを使い、再び重力の設定されている食堂へ。
 アレルヤが通信に従い食堂に入ると、そこは何故か暗闇だった。
 何時もならアレルヤが到着する頃には、全員とは言わないがマイスターとスメラギや他のクルーの内、たいてい誰か一人は先客がいた。勿論というかやはりというか、先客の頻度は刹那かティエリアが高かったけれど。
(−−…あれ? 今日は僕が一番乗り…?)
 確かに急いで来たけど珍しい…などと、思わず暢気な思考が浮かぶ。けれど、食堂の中に人の気配を感じて、その考えをアレルヤは自分自身で瞬時に否定した。
 隠し切れていないのか、それとも隠そうともしていないのか。
 間違いなく人の気配を感じる。それも複数。
 目的はともかくトレミーの、しかも食堂にまで何かが侵入するとは考え難いからクルーのはずだけれど、絶対そうだとは断言出来ない。
 超兵の人体改造は視力、主に動態視力にも及んでいる上に、闇の中でも活動に支障がないように訓練している。例え視界が悪かろうが一般的な相手であれば、いや、例え訓練を積んだ者であっても遅れをとりはしない。気配から殺気は感じないが、万が一に備えアレルヤは油断無く身構えた。 
 気配が動くのを感じて、防御と同時に攻撃に転じられるよう身体に力を貯めようとして。
 パァン…っと。
 銃にしては軽い音が暗闇から発せられた。そして、それが合図になったようかに、パン、パァンと次々と音が響く。  
 これが弾丸であったなら、超兵のアレルヤといえど絶命もしくは大怪我をしていただろう。だが、僅かながら火薬の匂いこそすれ、怪我どころか痛みやあの独特の熱さは身体の何処にも感じられなかった。
 続いて聞こえたのは歌。
「こ…の……歌…」
 知っているけれど、これまで歌った事も歌って貰った事もない歌ーー。それがいくつもの声によって歌われていく。
 そうして、歌が終わると同時に、もう一度パンッと先程の軽い音が響き、次いで照明がその機能を復帰させた。

「ハッピーバースデー! アレルヤ!」

 照明の明るさに細めた銀と金の双眸に映るのは、やはりクルーの面々。
 声を揃えて言うクルーの顔には笑みが浮かび、手にはいつの間に仕入れたのか、音の正体ーークラッカーがそれぞれ握られ、アレルヤの身体には色とりどりのテープや紙片が絡んでいたり散っていたり。
 そして、クルー達の後ろには、これもまたいつ仕入れたのか、それとも誰かが腕を奮ったのだろうか。オードブル等のパーティーらしい料理ーーアレルヤ以外に作れる人物がいるのか大いに謎だがーーと、幾つかの酒らしいボトルが並んでいた。 
 そう、今日は2月27日。アレルヤ・ハプティズムの誕生日なのである。
「え……? なん…で?」
 なんで誕生日を?
 マイスターやCBメンバーの素性は、ミレイナのような子を除いて秘匿義務があり、レベル7、つまりはトップシークレット扱いのはずだ。それは今も昔もさほど変わっていない。
 所謂個人情報を知るのは、本人と今はリンクどころか所在すら判らないヴェーダだけのはずなのに、何故皆が知っているのか。
 勿論誕生日を知られたからといって、アレルヤ個人としては何の問題もないと思っているし、ミッションにも影響があるとも思っていないのだが、その義務があるだけに驚きを隠せなかった。それを怠りそうになり、ティエリアにこっぴどく怒られた過去は一度や二度ではないのだ。
「お誕生日、おめでとうございますぅ」
「あ…あり…がとう」
 呆然としていると、ミレイナに祝いの言葉と共に小さくて可愛い花束を差し出され、アレルヤは疑問はそのままに思わず受け取ってしまう。    
 しかし、目の前で笑うクルーの中心にいる人物、即ちスメラギ・李・ノリエガが軽くウィンクする姿を認めて、アレルヤの疑問は簡単に解消した。
 トレミーの実質リーダー的存在のスメラギには、この日が誕生日だとアレルヤ自身が話したのだから。
 4年前。過去と向き合うため、己やマリーのような人間をこれ以上増やさないため、己が出した超兵機関殲滅のミッションを遂行させた、あの日の夜。日付が0時を回った段階で、二十歳になった事をスメラギに告げ酒を貰ったのだ。
作品名:Absolution 作家名:瑞貴