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初恋

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 しかし、聞こえてしまったとは言え、その内容ときたら! 更に二人して紅く頬染めて見つめ合うだなんて! どこの青春まっただ中のコウコウセイですか!? いやいや、高校生だって今時はこんなじゃないだろう!? 今は24世紀なんだぜ?ていうか、純情にもホドがあるだろう!などなど突っ込みたくなるようなもので、聞いてる方が恥ずかしくなってくる。
 特にライルにとってティエリア・アーデと言えば、『綺麗で可愛い容姿だけれど、中身は容赦ない鬼教官』を体現した存在なだけに、よもやこんな光景を目にする日が来ようとはこれっぽちも想像していなかった。
 救出したアレルヤとティエリアが恋人同士だと知った時も相当な驚きだったけれど、脱力感が付加された分これもまた衝撃だった。
 そんな衝撃的光景が展開される中で、いち早く立ち直ったのは、スメラギである。流石は戦術予報士と褒め讃えたいところだが、4年前は一緒に活動していたので、一応は二人に対しての――特にアレルヤの乙男ぶりに――若干の免疫があったのかもしれない。
「ええ…と、行きましょうか。何か御馳走するわ。ああ、お酒とツマミぐらいしかないけど」
 もう少しすれば落ち着くだろうし、立ち入れる雰囲気でもないし、お邪魔虫にもなりたくはない。
 現状はすぐに出撃を要することもないならば、そっとしておこう、と。
 スメラギはそう言うと、「純情ってなんだっけ…」などと呆気に取られながら呟くライルを促して、その場を後にしたのだった―――。
 食堂にはそんなギャラリーにも気付かずに、相変わらず頬を赤らめたカップル一組。

 ライルやスメラギのように食堂に入れなくて、クルーが一食抜くことになってしまったのを彼らが知り、更に顔を赤らめる羽目になったのは、また別の話。



 
  
 
 
 

作品名:初恋 作家名:瑞貴