ドロー
いとおしさがとまらないので俺からキスしてやった。頬を押さえてキスするなんて、レッドとこういうことちゃんとするようになってからほとんどしたことなかったけど。レッドも驚いたようで、一瞬体を震わせてから目を閉じた。ああかわいい。これはもう、うん。レッドの手がシャツの下に入り込んだので思わず笑ってしまった。そんなむつけんなよ、俺だって早くしたいよ。
「ベッド行こうぜ」
「…わかったよ」
「ははは、そんな拗ねんなよ」
「……グリーンて」
会う度キレイになるからたまに不安になる。
その言葉を聞いた瞬間の俺のしあわせは他人には一生わからないだろう。レッドにさえも。ベッドに行こうと言ったのは俺なのに、俺自身が我慢できなくなりそうだ。
俺が唯一敵わない男が唯一欲しがるのがこの俺なのだ。
こんなにも飄々とした掴みどころのない男が、この俺に関しては不安をおぼえるのだ。
これ以上の愛の告白ってねえな、とひとりごちて、俺は改めて今日の挑戦者がゼロであることを祈った。