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まさきあやか
まさきあやか
novelistID. 8259
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松本珍道中 / リボツナ

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松本城……長野県松本市にある城である。現在は天守群などの建物が現存し、城跡は国の史跡に指定。
 また姫路城の別名、白鷺城と対になるかのようにその黒い外壁をとって黒鷺もしくは烏城とも言われている。

 そんな、先ほど読んだばかりのガイドブックお説明が綱吉の脳裏に流れていく。

「それで先生」
「なんだ?」

 くるりと振り返る綱吉の背後には、突き抜けるような青空と白い雲。そして国宝にも指定されている黒い城が見える。そして綱吉の眼もとにはそんな黒い城に負けず劣らずの真っ黒な隈があった。
 胡乱な眼差しの教え子に、家庭教師であるリボーンはひょいっと肩をすくめる。

「なんでオレは松本城の前にいるのでしょうか?」
「来たかったから」

 わざわざ聞くほどの事でもないだろう。と言うようにあっさりとした回答に、綱吉はガクリと肩を落とした。わかってはいたものの、あっさりとそう言われると非常にやるせないものがある。

「うん、お前はそう言う奴だよね。でもなんでオレまで一緒なわけ?」

 かつてならまだしも、現在綱吉が暮らしているのはイタリアだ。日本から飛行機で十二時間。
さらにそこから約四時間かけてやってくるような場所ではない。何か理由があるはずだ。いやむしろ合ってくれと言う教え子の懇願はあっさりと流された。

「理由は特にない」

 男らしいと言えるほどバッサリとした言葉に綱吉はその場にしゃがみこんだ。仕立て屋が丹精込めて作り上げたスーツがしわになるが気にしている余裕は綱吉にはない。
 どうしたんだ?と、不思議そうに屈みこんだリボーン。綱吉は勢いよく顔上げると、その勢いのままリボーンの胸倉を掴んで叫んだ。

「おま!いい加減にしろよな、今月末までの書類が溜まってるんだよ、オレは!!」
「はっダメツナめ」

 いい度胸してるじゃねぇかと、かつては触れさせることもしなかった教え子の暴挙を鼻で嗤うと、リボーンは胸倉を掴まれたままその腹を蹴り上げた。

「ゲホッこの!」
「ぐっ」

 腹を思い蹴られた綱吉だが、頭に血が上っているのか、吹き飛ばされることなくその場にとどまると、思い切りリボーンの額に自分の額を強く押し当てた。早い話が頭突きをくらわしたのだ。
 流石のリボーンも衝撃にグラリとめまいを起こす。さすが、ボンゴレにおいて晴の守護者の笹川了平と並んで肉弾戦派の綱吉である。アルコバレーノとはいえ、銃での戦闘――距離を置いての遠距離攻撃――で真価を発揮するリボーンでは若干分が悪い。
 そんなリボーンから手を離すと、よろめく家庭教師に綱吉が吐き捨てる。

「お前とコロネロとヴェルデがもめ事を起こしてくれなければ今頃バカンスに出てこれたんだよ!」

 どうやら何の理由もなく松本まで連れて来た事よりも、そちらの方が問題らしい。リボーンと同じくアルコバレーノに名を連ねる青のコロネロと緑のヴェルデはどうにもこうにもリボーンと折り合いが悪い。
 いや、コロネロとリボーンだけならばちょっと被害の大きいじゃれあいで済むのだが、そこにヴェルデが加わると途端にシャレにならない状況になる。
 リボーンが長距離攻撃を得意とするならば、コロネロは近距離、中距離のプロフェッショナルだ。対してヴェルデは本職が科学者であり、戦闘は不得意に思われるが、そこは所詮アルコバレーノ。
 自身が開発したマシンだの武器だのを多用し、被害を拡大させる。
 結果、ヴェルデのパトロンであったファミリーの一つが壊滅の憂き目にあい、コロネロはマフィアランドに強制送還。もちろん今年のボンゴレからの融資は八割カットだ。
 リボーンもいくつかの無料奉仕を仰せつかっていたのである。が、本人たちはそれで片がついても、綱吉の方はそうはいかない。そもそもアルコバレーノ同士が起こした騒動は何故か綱吉のところに後始末が持ち込まれるのだ。
 たしかにボンゴレにはリボーンとラル・ミルチ、マーモンと言う業界最大人数が在籍している。さらにコロネロのマフィアランドの最大の出資者はボンゴレだ。
 ついでに言うならカルカッサのスカルはリボーンのパシリであり、風は綱吉の妹分のイーピンの師匠であり、ユニはあの未来での一件以来綱吉にとっては大切な少女である。
 よって、ほとんどがボンゴレの関係者と言えばそうなのだが、理不尽だと思うのは綱吉だけではないだろう。

「ヴェルデだけはオレと無関係でいてくれると思ってるのに!!」

 匣兵器関係で、業界最大出力と言われる綱吉の炎を科学者のヴェルデが見逃すはずもなく。大抵の実験は彼をターゲットに行われると言う、大変嬉しくない現実があった。
 そうした結果、綱吉のもとに運び込まれるのが彼らの後始末と言う名の書類の山であり、ここのところ綱吉は通常業務と並行して休暇返上でその処理に追われていたのだ。

「…………それはそうとな、ツナ」
「ごまかしやがって…」

 サメザメと嘆く教え子に、目眩の治まったリボーンはゴホリとわざとらしい咳払いをすると、松本城を指さす。恨めしげな教え子の視線は背中で弾くに限る。

「一応、何の理由もなくジャッポーネまで来たわけじゃねーんだぞ、おれも」
「そうであってほしいものだね。あぁ、雲雀さんと骸に嫌みを言われる。隼人と山本は大丈夫かなぁ…一番大丈夫じゃなさそうなのは了平さんだけど…」

 尤も戦力にならないのはランボだろうが、端から数に入っていないので仕方がない。そんな教え子の心の声を聞いたリボーンだが、反論できないし、する必要性も感じないのでスルーする。

「おい、何をぶつぶつ言ってる」
「はいはい、今行くよ」

 さっさと行くぞ。と、歩き出すリボーンに、パンパンとリボーンに蹴られた部分をはたきながら綱吉が続く。とりあえず携帯電話にメールも通話も来ていないところを見れば大丈夫なのだろう。
 そのまま城の入り口に向かって歩いて行く二人の目に、意図の列が見えてくる。

「…リボーン、なんか目の前に人の列があるんだけど」
「そうだな」

 人数にして百人程度だろう。日傘をもったり帽子をかぶったりして日差しを避けている人々の列に綱吉が首をかしげた。ちなみに二人ともスーツ姿なので、かなり周囲から浮いている。

「……お城ってこんなに込むもんなの?」

 昨今の歴史ブームや城ブームなどがあるが、残念ながら普段はイタリアに住んでいる綱吉がそこまで日本の状況に詳しいわけでもない。
 そんな教え子の疑問に、リボーンが「今は夏休みだからな」と返すと、綱吉はポンと手を打った。

「………あぁ、それで公共交通を使ったのか」

 羽田空港から新宿経由にて特急あずさで松本に到着した二人である。車での移動でなかったのが不思議だったのだが、確かにこの時期下手に車を使おうものなら渋滞に巻き込まれるのがおちである。
 ちなみに二〇一〇年十月から国際空港になった羽田からイタリアはまだ直行便が就航していないのだが、わざわざパリから乗り継いでやって来ていた。

 ―――意外と新しいものが好きなんだよなぁ