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まさきあやか
まさきあやか
novelistID. 8259
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松本珍道中 / リボツナ

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 そんな中、珍しく本部にいた骸が綱吉を見て不思議そうに首をかしげる。どうしうたんだ?と振り返る綱吉に色違いの瞳を細めて骸が首を振った。

「いえ…なんか変わったことありました?綱吉君」
「あぁ、なんて言うか、お前の担当?みたいなのにはあったかな」
「は?」

 心当たりは一つしかない。と言うように言う綱吉に骸は余計わけがわからないと言うように首をかしげる。しかし、終わってしまった事は綱吉にとってはどうでもいい。と言うよりも深く考えたい事ではないので、さっさと話題を変えた。

「それよりはい、お土産」
「チョコレートなのはいいんですが、なぜ一味味なんですか」

 差し出された二センチほどの赤い箱に包まれたそれを受け取り、骸が眉をひそめる。
信州限定なのは、イタリア最大級のマフィアのドンなのにいつまでたっても小市民根性が抜けない綱吉ならわかる。が、何故これなのかと、雲雀に差し出されたチロルチョコのパッケージを恨めしげに見つつ尋ねる。

「あれ?好きなんじゃないのか?」

 不思議そうに沖縄の時の事を告げられて、骸は「そんな事もあった」と少しばかり遠い目をする。拉致同然に沖縄に連れていかれ、旅の恥はかき捨てとばかりにいちゃついてくれた二人に半分やけくそだった自分もついでに思い出した。

「………犬にあげることにします」

 そんなやさぐれた気分のまま骸はそう言うと、大きくため息をつく。
 全員に土産がいきわたるのを見届けたタイミングで、獄寺が綱吉へと数枚の報告書を差し出した。

「十代目がいない間にあぶり出しが終わったファミリーはこちらに」
「あぶり……クソっリボーンの奴、これが目的か」

 確かに綱吉がここ数日休暇を返上して仕事をしていたのはリボーン立ちアルコバレーノが暴れ回ってくれたことがあるのだが、それとはもう一つ、ここのところきな臭い動きをするファミリーがあったのだ。
 これは一度大掃除をしないとまずいなぁと、綱吉が思っていたのだが、具体的な解決策を出す前だった。それをどうやらリボーンが強硬手段に打って出たらしい。

「あのクソガキ、初めから言えばいいだろうに」
「まーま、小僧もいろいろ考えたんだろ」

 そんな綱吉に山本が苦笑いを浮かべる。その手には土産の酒ビンが握られていた。
 彼の言う通り、初めから知っていれば首尾がどうなったのか気になって観光どころではなかっただろう。そもそも日本に行かずに適当なところに身を隠してお茶を濁していたに違いない。
 それこそ、休暇もとらずにこのまま問題のファミリーとの事に当たっていただろう綱吉にとって、リボーンの強引な手はいい気分転換になった事は違いない。ついでに綱吉不在を幸いと動き出したファミリーまでわかって一石二鳥だ。

「はぁ…まだリボーンにはかなわないってことか……」
「まぁ仕方がないよ、彼は君の〝先生〟なんだからね」

 肩を落とす綱吉に、雲雀はそう言って肩をすくめる。その手には綱吉の土産の信州限定のチロルチョコと塩羊羹だ。

「………まぁ目的の九割はツナヨシと遊びに行きたかったんだと思うけど」
「俺もそう思うのなー」
「極限同意だ」
「言うまでもないでしょうに」

 自身の家庭教師に対して敬愛を深める綱吉と、そんな綱吉の指示に嬉々と従う獄寺を見ながら、守護者の四人は深いため息をつくと、やれやれとばかりに執務室を出て行ったのだった。
 しばらくして、イタリアから大小いくつかのファミリーがボンゴレに統合されるのは、別の話である。


END