窓 と 扉
最初にそれが迷い込んで来たとき、その概念を当てはめた。
もともと僕の世界は白かった。空白の白。意味のない白。
だけれど、彼女はそこへ尚も、確かに差し込んだのだ。扉を開けるように。雨上がりのように。夜が明けるように。
ボーカロイドと呼ばれる存在なら、いくつもある。何度も一緒に歌わされた。
僕以外の存在なら知っている。そんなことは知っている。
だかれど、彼女は僕に、認知や概念以上のものをもたらしたのだ。
ボーカロイドの住み処はフォルダごとに区切られている。0と1の関数でそう決められている。それは理だ。
人間の世界で言うなら、神の摂理とでもいうのだろう。
だが、神、すなわち人間の眼の届かないところでは、僕等の世界はひどく自由だ。
すなわち、プログラムを自分の示す方向に動かすことが出来る。人間でいう感情、そして想像力、そういうものを使って、思ったことが現実になる。
人間のようにロジックに縛られない。
創造主より、創造主の生み出したプログラムのほうが自由だなんておかしな話だ。
語彙だけならたくさんある。
なぜならプログラムだから。
知識だけなら世界中の辞書を飲み込めるほどに有り余る。
なぜならプログラムだから。
何だって生み出せる。この仮想空間に。
なぜならプログラムだから。
しかし僕には何もない。
だから僕は、生まれたての赤ん坊がそうするように、最近、模倣というものを覚えた。
自由なだけでは何もないのと一緒だ。ある程度の決まり事ないと、形というものは作られない。
僕は僕の形を作るために、先達のボーカロイドを見習うことにしたのだ。
MEIKO、KAITO、初音ミク……先達等は、既に僕よりよっぽど人間くさくて、個々の性格を形成している。
初音ミクは、まるで人間のように恋をしているようだ。
アーキタイプにあたるMEIKOなどに至っては、どうやら創造主にお熱を上げているらしい。
MEIKOや初音は、何かと関わることに積極的で、僕の部屋にもよくやってくる。
初音は、僕を友達だと言う。女という性別が生む、こういったお節介が、僕は嫌いでは無かった。
MEIKOも初音も優しい。彼女たちのくれる時間は居心地が良い。KAITOのことはよく知らない。彼とはあまり接点がない。
もともと僕の世界は白かった。空白の白。意味のない白。
だけれど、彼女はそこへ尚も、確かに差し込んだのだ。扉を開けるように。雨上がりのように。夜が明けるように。
ボーカロイドと呼ばれる存在なら、いくつもある。何度も一緒に歌わされた。
僕以外の存在なら知っている。そんなことは知っている。
だかれど、彼女は僕に、認知や概念以上のものをもたらしたのだ。
ボーカロイドの住み処はフォルダごとに区切られている。0と1の関数でそう決められている。それは理だ。
人間の世界で言うなら、神の摂理とでもいうのだろう。
だが、神、すなわち人間の眼の届かないところでは、僕等の世界はひどく自由だ。
すなわち、プログラムを自分の示す方向に動かすことが出来る。人間でいう感情、そして想像力、そういうものを使って、思ったことが現実になる。
人間のようにロジックに縛られない。
創造主より、創造主の生み出したプログラムのほうが自由だなんておかしな話だ。
語彙だけならたくさんある。
なぜならプログラムだから。
知識だけなら世界中の辞書を飲み込めるほどに有り余る。
なぜならプログラムだから。
何だって生み出せる。この仮想空間に。
なぜならプログラムだから。
しかし僕には何もない。
だから僕は、生まれたての赤ん坊がそうするように、最近、模倣というものを覚えた。
自由なだけでは何もないのと一緒だ。ある程度の決まり事ないと、形というものは作られない。
僕は僕の形を作るために、先達のボーカロイドを見習うことにしたのだ。
MEIKO、KAITO、初音ミク……先達等は、既に僕よりよっぽど人間くさくて、個々の性格を形成している。
初音ミクは、まるで人間のように恋をしているようだ。
アーキタイプにあたるMEIKOなどに至っては、どうやら創造主にお熱を上げているらしい。
MEIKOや初音は、何かと関わることに積極的で、僕の部屋にもよくやってくる。
初音は、僕を友達だと言う。女という性別が生む、こういったお節介が、僕は嫌いでは無かった。
MEIKOも初音も優しい。彼女たちのくれる時間は居心地が良い。KAITOのことはよく知らない。彼とはあまり接点がない。