二年後設定で沖神!
再会
宇宙船が飛びたつ、あるいは到着するターミナル。
そこで大混乱が起きていた。
人々が逃げている。
その向こうに、巨大なえいりあんの姿があった。
えいりあんは大暴れしている。
「あー、てめーは我々神聖真選組によって完全に包囲されているー、おとなしく投降しろォ」
目つきの悪い山崎が拡声器に向かってがなり立てた。
だが、えいりあんは投降しないし、おとなしくすらならない。
それどころか、いっそう暴れて、周囲の物を壊す。
破片が飛んできて、それが運悪く当たった者が悲鳴をあげた。
「……山崎」
山崎の隣で、冷静な声が言う。
「えいりあんはんたーをちゃんと呼んだんだろうな?」
制服の上にマントを羽織っている。
神聖真選組皇帝のソーゴ・ドS・オキタ三世だ。
整った顔立ちの中の冷ややかで鋭い眼が山崎を見すえている。
「ハイ、カイザー、もちろんであります!」
山崎は敬礼をして答える。
「もう少しすれば到着するでしょう」
「そうか。それならいい」
ほんの少しの温かみもない声でそう告げると、沖田はその眼をえいりあんのほうに向けた。
あいかわらず大暴れしているえいりあんを観察する。
「……なにかに似ていると思ったが」
つぶやく。
「タコだな。大きなタコだ」
「あれぐらいの大きさだったら、たこ焼きがいっぱい作れるアルな」
背後から若い女の声が聞こえてきた。
聞き覚えのある、口調。
その声も。
なつかしさを感じて、口元がふっとほころびそうになった。
けれども冷静な表情を崩さずにいる。
「たとえたくさん作れたとしても、あれが材料では、だれも食べたいとは思わないだろう」
言い返したあと、身体ごと振り返った。
そこには、ツインテールの娘が立っている。
神楽だ。
しかし、沖田の覚えている神楽とは少し違っている。
二年まえに修行のために地球から宇宙へと旅立った頃の神楽とは、違っている。
とうぜんながら、成長している。
会わなかった二年分だ。