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【腐向け】貴方への文【小太官】

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 この小生にはぜーんぶお見通しだ!…だからそんなに嫌がるなよ」

―分かってはいるのだ。くそ真面目なコイツにとって北条殿の言葉は絶対であることを。
かの好々爺が世間話の折にでも「お前さんも文を送ったらどうじゃ?」といえば
こいつはソレを命令として受け取ることも…

言葉の端が拗ねたような色を帯びてしまったとしても仕方ない。
それほど、小生はあの文が…あの風魔小太郎からの文が嬉しかったのだ。

かの忍から本当に心配されていると勘違いして、つい喜んでしまう程度には
小生は風切羽に好意的な気持ちを向けている。(いや、変な意味ではないぞ!)
…ただそれゆえに、あの文が仕事の一環に過ぎなかったことが…本当に、寂しいのだ。
今度は、風切羽ではなく小生の方が俯いてしまう。

こうなってしまうと、いくら前髪や兜に隠されているといえども顔など直視できなくて
早く帰ってくれないか…と思いながら俯き続けていたが、なぜか相手は一向に帰らない。

むしろ、なぜか出口とは反対側にある小生の文机に向かって歩いていったかと思えば
おもむろに筆と紙をつかんで何かしらを書き綴ると、すぐにそれを小生に渡してきた。
あっという間に書き終えたところは忍らしい、と言いたいところだが意味が分からない。
わけも分からず手の内の紙に目を落とした途端、信じられない文が飛び込んできた。

『俺が貴方に文を送ったのは嘘偽りなく自らの意思です。
 主に強要されたわけでもなんでもありません。どうか信じてください。
 俺の主はそんな礼を欠くようなことをしません。俺も貴方にそんなことはしたくない』

急いだためか、以前の文よりも震えた文字で書かれた言の葉…
それはまさしく物言わぬ忍が見せた本音の片鱗であった。

紙の内容を理解すると共に、顔に血が集まっていくのが自分でもわかって恥ずかしい!
きっとこの聡い忍にも気付かれているだろうと思えばその思いもひとしおである。
今度は別の意味で顔があげられなくて黙っていると、なぜか風切羽に頭をなでられた。

「…ってなぜじゃああああ!」

真っ赤な顔のまま叫ぶ小生を見た後、忍はいつも通り黒い羽を残して帰っていった。
消える直前にはちらりと見た風切羽の顔には、淡い笑みが浮かんでいた…




…この騒動以来、小生にはいくつか変化が起こった。

一つ目は、小生の文通相手が北条殿以外にもう1人できてしまったこと
二つ目は、文を届けに来るたびに風切羽の表情がほんのり人間味を帯びていくこと
三つめは、なぜか北条殿からの文に…『風魔が文箱などを所望するようになった』などと
       たびたび書かれるようになってしまったこと!

  終わり