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【イナズマ】赤いきつねと円堂守

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「要は、守が俺を必要としてくれるかどうか、なんだ」
「な、あ、え……?」
「お願いだよ、一言ここにいろって言って」
「う、うーん……」
「守のこと、俺が守ってあげるよ。守のイキスジ、スムーズにしてあげられるし、出来る限りのお願い事も聞いてあげる。もし守が望むなら……好みの女の子の姿になってあげてもいいよ」
「そ、そんな……」
「だからお願い、傍にいさせてよ。俺、まだ消えたくないよ……」

泣きそうな声で言われた挙句に、がば、と抱きつかれて、円堂はおろおろと手を上下させた。
なんなんだこれは一体。
どうしろっていうんだ。
神様、っていうのはこんなに人懐っこくていいものなのか。
いろんな思いが駆け巡ったが、触れた部分は温かく、触れた髪はさらさらと心地よかった。
消えてしまうかもしれないのだ、ここにいるのに。
確かにここにいるのに。

妙に、情が沸いてしまった。

「……あーその……あれだよ……やっぱり俺だけの意見じゃ決められないし……」
「……うん」
「だから、その、母ちゃんが帰ってきたら、その、聞いてみたらいいんじゃないかなあ……それまではここにいればいいし……」
「……いいの?」
「と、とりあえずは……」
「ありがとう守!」

がばっとさらに力いっぱい抱き締められる。
予想外の力に思わず唸りながら、ふと、円堂は目の前にある柔らかそうな耳に触れた。
ぱたた、と擽ったそうに震えるそれは、どう見ても本物で、ということはきっとこの尻尾も本物で、やはりこの少年は狐で神様、なんだろうか。

頭が痛くなってきた。

「嬉しいなあ、守、ありがとう」
「……なあ、ところでさ」
「うん?」
「お前、なんで俺の名前知ってんの?」
「知ってるよ。神様だもの」

そういうものらしい。
少年は至近距離から円堂の顔を覗き込むと、にっこりとその瞳を細めた。
狐らしい、一重のつり上がった瞳の奥で、翡翠がきらきらと輝いている。

「これからよろしくね、守」
「ちょ、ちょっと待てよ。まだずっとここにいてもいいって言った訳じゃ」
「俺は……ヒロト、ヒロトって呼んでよ」
「ひ、ヒロト」
「うん」

思わず名前を呼ぶと、嬉しそうに笑って頷いた。
ふわふわと白い尻尾が揺れる。

これが円堂少年と、赤狐のヒロトの出会いのお話。