二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

たすけるを言わせて

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 




なんで自分じゃなくて俺を逃がすんだっ、馬鹿やろう!って、綱吉は床を殴りつけた。愛しい。悔しい。ごちゃまぜになっちまって、胸が苦しい。

綱吉が叫んだ直後に人の足音が聞こえた。ここの不気味な看守共だろう。




綱吉のポケットにはグローブも指輪もない。

武器はなにひとつない。
だけど無謀とは思わなかった。此処から出ようと強く思った。



綱吉はわがままだと思いながら、でも、彼もあの子も助けたかった。






--------------------------------------






『炎真くんを返せっ!…って、あ、れ』





午後12時37分。



彼が来た。

髪と額から汗が落ちたのを見た。

肩は上下して、ひどく苦しそう。しばらくして、この空間に誰も怖い人たちが居な
い事に気付いたのか、…あれ?と言いたげに首を傾げた。



『た、たすけに来ました…?』



えへへ、って手を頭の後ろに当てて彼は言う。ちっとも怒った様な色はない。だまされたって言うのに。







心の中があったかい気持ちでぎゅうぎゅうになった。

来てくれた、ツナくん、助けに来てくれたんだ。





「…炎真?」



そんな夢を見たのは何度めだろう。

いつもアーデルハイトの声で目が覚める。

おはよアーデルハイト、って言って背を向ける。





多分僕はまだあの子を待っているのだと思い知って目が覚める。
作品名:たすけるを言わせて 作家名:中城