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冷たい博愛主義者

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――――臨死体験を信じるか?
俺は信じてなかったんだけどね、リボーン。覚えてるだろ先生。
都会で生き埋めになりかけたあれだよ、は、反省してるってば!
あの日さ、俺幽体離脱?できたかもしんない。
ふざけてないよ、だってさ、生き埋めだよ。息すら出来ないのにさ、俺、ディーノさんと会話出来ちまったんだよ。
…その、かわいそうなもん見る目は、勘弁して。――――






「じゅーだいめぇエエエエェエエ!!!」

何事だよ、って言いたくなるサイズの悲鳴だった。あの右腕は、綱吉の肩をひっつかんで「良かった良かった」を繰り返した。目の端には感涙がぼろぼろ。
そして汗だくの親友が「探したよツナ」って笑いかけた。ちょっと怒ってるのがわかった。
ディノさんは!、って叫びそうになっちまったけど、彼はすぐ傍にいた。肩を上下させた彼の部下どもに、なにやらいろいろ叫ばれている。
説教、抗議、安堵とか。忙しなく言葉を投げられる。綱吉の周りにもディーノの周りにも、たくさんのひとがいた。胸が苦しい。頬は熱くなるばっかだ。しもやけの痛みがじわじわ沁みる。

自分たちを探してくれた彼らに、「ありがと」って言うのが精一杯だ。
綱吉ははやしたてられながら、ちょっと泣いた。




人ごみをかき分けて「つな!つな、ごめんなぁ」って抱きついてきたディーノに、綱吉もしがみついた。
ごめんね。

(ディノさん、やっぱり俺はここに居たいです。この時間の、この家に帰ってきたいです)




作品名:冷たい博愛主義者 作家名:中城