二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

恋においては敵いません

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
「あー………寒い」
「寒いですねぇ」

冷たい風が頬を掠め、吐く息が白に色を変える
本格的な冬の訪れに、臨也は心底嫌そうに眉をしかめながら街中を歩いていた
そんな臨也の隣で、片手にスーパーのビニール袋を下げた帝人がちょこんと肩を並べている
歩く度にがさがさと音を立てるその中に入っているのは、葱や白菜といった野菜に肉といった食材
勿論臨也も同じビニール袋を下げている
あの折原臨也とスーパーのビニール袋という不可思議な組み合わせに、可愛い恋人に噴き出されたのはもう数分前の話だ

「ほんと、なんで日本には四季とか面倒なのがあるわけ…いらなくない?」
「そんなこと言って…情緒もなにもないですね」
「なくて結構…てか俺みたいな奴に情緒とか期待する方が間違い」

それもそうですね、と小さく笑う帝人に臨也は溜め息を吐く
早く部屋に着きたい、とかそんなことを考えていると、「でも、」と帝人が小さく漏らした

「でも僕はわりと好きですよ、冬」
「えー…なんで?」
「夕御飯を迷わずにすみますし、鍋って便利ですよね」
「……毎日は流石に飽きない?」
「最近は色々と鍋にもバリエーションがあるのでそうでも。あ、あと………」

一旦言葉を止めた子供を、臨也は足を止め不思議そうに眼を瞬かせる
帝人は少しだけ顔に朱を走らせると、青みがかった双眸を臨也に向けてふにゃりと笑った




「その……冬だと、臨也さんに素直に甘えられるから、好きです」




へへ、と幼いそれで笑うと、帝人は臨也の数歩先へと駆けて行く
臨也はぽかんとした表情でその身体を眼で追ったが、すぐにふっと口元に柔らかい笑みを浮かべた

(本当…敵わないなぁ)

あまりにも君は優しくて綺麗すぎるから、こんな俺が触れていいのか迷ってしまうけど
でも君が、こんな俺を愛してくれると言うのなら、俺は


(君を、精一杯愛したいよ)


「ほ、ほら早く帰りましょう!」
「……はいはい」

一瞬だけ振り向いて口早にそう呟くと、帝人はとたとたと駆け出す
そんな彼の後姿を酷く優しい眼差しで見つめると、臨也はこんな日常を愛しく思いながら再び歩き出した