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目を塞ぐ卑怯者

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長々と実のない会議も終わり、酷く気分が悪くなりながらも会議室から出る。会議自体は数時間前に終わっていたのだが、会議後にジョーンズさんに呼ばれたので今の今まで話していたのだ。正直うんざりとしたつつもおくびにも出さず聞き役に徹する。いつもならにこやかに対応出来るはずの話でも、今日は無理だと思っていたので、無理難題を相談されたわけでもなかったのが幸いだったと言うべきか。面倒くさいという気持ちを顔に出さなかっただけ自分を褒めてやりたい。

会議の前、私は耀さんと喧嘩をした。久し振りに酷い言葉が口をついて出た。私がこれほどまでストレートに嫌悪の感情を出せる相手は彼だけであり、それだけにお得意の八つ橋にくるむような言い方すら出来ないのだ。切欠はほんの些細な出来事だったのに、気が付けば目の前にいる人は切れ長の黒目に涙を溜めていた。あ、と言いかけていた口が止まる。途端に耀さんは後ろを向いて走り去っていった。言い過ぎたと思ったが追いかける気にもならない。泣いた顔を見るのが嫌だった。もし追いついてしまったら私はそれに耐えきれずきっと謝ってしまう。心がざわざわと騒がしい。嫌悪ににも似た感情が渦巻く。言い合いの原因を思い出して私は悪くない、正論を言ったまでだと無理矢理それを押さえ込んだ。

そのまま私の気分は晴れることのなく会議が始まった。ちらり、と少し遠くに座る耀さんを見る。微かに目の下に涙を拭った後があった。それを見つけた私は目を逸らすしかない。あれは私をひどく惑わす。
その後、何度か彼の視線が私に向けられているのに気づいたがすべて知らぬ振りを通した。時折何か言いたげに口を動かして、そちらを向こうとしない私を見て閉ざす。堂々巡りだ。
終わってからもジョーンズさんに呼ばれて部屋の隅へ行く私をちらりと見やり、耀さんは会議室を出ていき、その後を誰かが着いていった。話さずに済んで安心するべきなのに、無性にイライラが募る。なあ、そう思うだろう?と言われて我に返るまでジョーンズさんの話がどこか遠くで聞こえた。

作品名:目を塞ぐ卑怯者 作家名:sui