【ヘタリア】兄さんが消えない理由マリエンブルク城篇2-1
はじめに。
大変長い話のノーカットバージョンなので、3つに分けております。
下記のような感じです。
順番に載せていきます。
ヘタリアで、初めての長編。
けっこう気合い入れて書きました。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
●「兄さんが消えない理由」1 ドイツ騎士団篇 「ノベリスト」に(掲載済み)
*あらすじ*
ベルリンの壁が崩れてから1年後、倒れて入院したギルベルトを意外な客が見舞う。
過去のドイツ騎士団の騎士の子孫が、現在のドイツ騎士団の司教として現れる。
そして、ギルベルトは・・・・・。
●「兄さんが消えない理由」2−1 マリエンブルク城篇
*あらすじ*
現ポーランドにあるマリエンブルク城。世界遺産に登録するために、内部の調査に入ったフェリクスとト―リスは、そこで不可思議な現象を見つける。
ルートヴィッヒはギルベルトに来た仕事の依頼を、兄が断り、逃亡したのを知り、兄を探しまわる。
フランシスや、アント―ニョの気遣い。不機嫌な兄。
兄弟を見て、納得できないロマーノはアント―ニョにつめよる。
しかし、ギルベルトの身には、ある事が起きていた。
●「兄さんが消えない理由」2−2 マリエンブルク城篇
*あらすじ*
城の中の謎を解明しようと準備するト―リスとフェリクス。
マリエンブルク駅に到着したギルベルトとルートヴィッヒ。
しかし、ギルベルトの足は進まず、弟にあることを宣言する。
●「兄さんが消えない理由」2−3
*あらすじ*
兄の告白にショックを受けるルートヴィッヒ。一方的なギルベルトを責めるト―リス。
マリエンブルクの城の謎は解かれる。城に残された、ドイツ騎士団の騎士たちから、ギルベルトへのメッセージ。
兄弟は城の修復にたずさわる。そこへ現れたのは・・・・・。
下から、本文です↓
*****************************************
「兄さんが消えない理由」2−1
手が、透けている。
庭で水やりをしていたら、太陽に手が透けてた。
これは何だ?
俺は、いったいどうしたんだ?
今までなんともなかったのに・・・・・・。
どうして今頃になって・・・・・・!
俺はまだ、消えたくない!
消えるなんて出来ない!!
あいつを残して消えるのか?
やっと会えて、一緒に暮らして・・・・・「ドイツ」はようやく一つになって安定し始めたっていうのに!
ひょっとして・・・それでなのか?
安定し始めて、もう・・・・俺はいらないのか?!
俺の元いた騎士団の司教が亡くなった。
知らせが来たのは、司教の埋葬まで済んだ後だった。
これで、俺を「騎士団」と認めてくれてた奴がいなくなった。
だからなのか?
なんだ?このタイミングの良さはよお。
これは、警告なんだろう。俺が消えるっていう。
手が透けて、、体が透けていって、空気に溶けてなくなる。
無くなって消えて逝った奴ら「国」は、みんな自分の身に起きている事を前もって知ってやがった。
これがそうか。
ああ・・・・ヴェスト・・・・・・。
俺が消えたら、お前は泣くんだろうな。
お前は一人でやっていくだろう。
今でも、これまでも、お前一人でも大丈夫だったんだ。
もう、ドイツは一つでいい。
俺の、この人生はきっと神様からの贈り物だったんだろう。
それならいいさ。
俺はお前とまた会えた。
一緒に暮らして、一緒に飯食って、一緒に笑えたんだ。
そろそろ、潮時なのか・・・・・・。
なら、準備しないとな。
親父・・・・・、迎えに来てくれるって言ってたじゃねえか。
迎えに来る時は、前もって知らせるって言ってたよな。
俺の体が透けてるのかそうなのか?
親父らしくない、警告じゃねえか。
もっとわかりやすく、大胆に知らせてくれるんだと思ってたぜ。
まあ、いいや。
ヴェストには、わからねえようにしねえとな。
しれたらあいつはきっと引き留めるだろう。
もう、俺が居ていい時代じゃないんだろう。
可愛いヴェスト。
最後に、兄ちゃんが、お前に・・やってやれることを・・・・・・・。
***********************************
現ポーランドにあるマリエンブルクの城。
兄さんがドイツ騎士団だった時の居城だ。
それが世界遺産に登録されると聞いたのは、兄さんが俺の上司からの仕事の依頼を断って、逃亡を図った後だった。
家に帰ったら、一行だけの置き手紙。
『俺はしばらく出かけてくるぜ!ヴェスト!元気でな!!』
やれやれ。
どうしてこう、俺に面倒をかけるのか?
どうせ、すぐに連れ戻されることはわかっているだろうに・・・・・。
俺に捕まえに来てほしいとしか思えない行動だが、逃げ込む先が気に食わない。
どうせ、またフランスかスペインのところなんだろう・・・・。
まったく・・・・・たいがいにしろというものだ・・・・・・・。
**************************************
「なあなあ、リト。そんでいつ、こっち来れるん?」
「うーん、そうだなあ・・・・今の仕事に一段落ついてから・・・かなあ・・。」
「もうそんなん、すっとばして、今すぐ来てほしいんよ!
なあ、リト。俺すげー困ってるんよ。どうしようかって思うしー。
お前がきてくれれば、なんとか考え、まとまると思うンよ。
そんでもって、俺んちに出来たテーマパーク来て遊んでいくしー!あと、俺んちの工場、新しいのできたんよ。そんで・・・・。」
「ちょ、ちょっと待って!!」
いつものように、いっきにまくしたてるフェリクスにトーリスは当惑する。
「頼むから、もっとわかるように言って!!」
(って言っても無駄なんだけどさ・・・・。)
「もう、口でなんか説明出来ないしー!俺、なんか怖くて、あそこ行けないしー!」
「怖い?あそこってどこ?」
「もう!リト!!とにかく来てくれないと困るしー!!
来てくれないと、俺、バルト海に潜るしー!」
「はあ?何言ってんの?あのね、ポー!何度も言ってるけど・・・!」
トーリスはあきらめながらもフェリクスに説明を求める。
どうやら、何かを怖がっていて、そこに行けないらしいが、何が何だかわっぱりわからない。
フェリクスは、もう泣き声になって電話口でまくしてている。
はあっとトーリスはため息をつく。
「わかったよ・・・・。来週の月曜日に、なんとか行けるようにするから・・・。」
「月曜日!!月曜日までなんて待てないしー!」
「ポー!!あのね!その日には絶対に行くから!!それでいいね!!」
ちょっと強引だが、はっきりとさせないとまたこの後一時間以上泣きごとが続く。
この忙しい中、それは避けたい。
「うん!!わかった!!待ってるしー!絶対にすぐに来てな!
よし!んなら、それまで俺、そっち行って待つしー!」
「はあっ?!こっち来るって・・・?!あのね、ポー!俺、仕事が忙しいから・・!」
大変長い話のノーカットバージョンなので、3つに分けております。
下記のような感じです。
順番に載せていきます。
ヘタリアで、初めての長編。
けっこう気合い入れて書きました。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
●「兄さんが消えない理由」1 ドイツ騎士団篇 「ノベリスト」に(掲載済み)
*あらすじ*
ベルリンの壁が崩れてから1年後、倒れて入院したギルベルトを意外な客が見舞う。
過去のドイツ騎士団の騎士の子孫が、現在のドイツ騎士団の司教として現れる。
そして、ギルベルトは・・・・・。
●「兄さんが消えない理由」2−1 マリエンブルク城篇
*あらすじ*
現ポーランドにあるマリエンブルク城。世界遺産に登録するために、内部の調査に入ったフェリクスとト―リスは、そこで不可思議な現象を見つける。
ルートヴィッヒはギルベルトに来た仕事の依頼を、兄が断り、逃亡したのを知り、兄を探しまわる。
フランシスや、アント―ニョの気遣い。不機嫌な兄。
兄弟を見て、納得できないロマーノはアント―ニョにつめよる。
しかし、ギルベルトの身には、ある事が起きていた。
●「兄さんが消えない理由」2−2 マリエンブルク城篇
*あらすじ*
城の中の謎を解明しようと準備するト―リスとフェリクス。
マリエンブルク駅に到着したギルベルトとルートヴィッヒ。
しかし、ギルベルトの足は進まず、弟にあることを宣言する。
●「兄さんが消えない理由」2−3
*あらすじ*
兄の告白にショックを受けるルートヴィッヒ。一方的なギルベルトを責めるト―リス。
マリエンブルクの城の謎は解かれる。城に残された、ドイツ騎士団の騎士たちから、ギルベルトへのメッセージ。
兄弟は城の修復にたずさわる。そこへ現れたのは・・・・・。
下から、本文です↓
*****************************************
「兄さんが消えない理由」2−1
手が、透けている。
庭で水やりをしていたら、太陽に手が透けてた。
これは何だ?
俺は、いったいどうしたんだ?
今までなんともなかったのに・・・・・・。
どうして今頃になって・・・・・・!
俺はまだ、消えたくない!
消えるなんて出来ない!!
あいつを残して消えるのか?
やっと会えて、一緒に暮らして・・・・・「ドイツ」はようやく一つになって安定し始めたっていうのに!
ひょっとして・・・それでなのか?
安定し始めて、もう・・・・俺はいらないのか?!
俺の元いた騎士団の司教が亡くなった。
知らせが来たのは、司教の埋葬まで済んだ後だった。
これで、俺を「騎士団」と認めてくれてた奴がいなくなった。
だからなのか?
なんだ?このタイミングの良さはよお。
これは、警告なんだろう。俺が消えるっていう。
手が透けて、、体が透けていって、空気に溶けてなくなる。
無くなって消えて逝った奴ら「国」は、みんな自分の身に起きている事を前もって知ってやがった。
これがそうか。
ああ・・・・ヴェスト・・・・・・。
俺が消えたら、お前は泣くんだろうな。
お前は一人でやっていくだろう。
今でも、これまでも、お前一人でも大丈夫だったんだ。
もう、ドイツは一つでいい。
俺の、この人生はきっと神様からの贈り物だったんだろう。
それならいいさ。
俺はお前とまた会えた。
一緒に暮らして、一緒に飯食って、一緒に笑えたんだ。
そろそろ、潮時なのか・・・・・・。
なら、準備しないとな。
親父・・・・・、迎えに来てくれるって言ってたじゃねえか。
迎えに来る時は、前もって知らせるって言ってたよな。
俺の体が透けてるのかそうなのか?
親父らしくない、警告じゃねえか。
もっとわかりやすく、大胆に知らせてくれるんだと思ってたぜ。
まあ、いいや。
ヴェストには、わからねえようにしねえとな。
しれたらあいつはきっと引き留めるだろう。
もう、俺が居ていい時代じゃないんだろう。
可愛いヴェスト。
最後に、兄ちゃんが、お前に・・やってやれることを・・・・・・・。
***********************************
現ポーランドにあるマリエンブルクの城。
兄さんがドイツ騎士団だった時の居城だ。
それが世界遺産に登録されると聞いたのは、兄さんが俺の上司からの仕事の依頼を断って、逃亡を図った後だった。
家に帰ったら、一行だけの置き手紙。
『俺はしばらく出かけてくるぜ!ヴェスト!元気でな!!』
やれやれ。
どうしてこう、俺に面倒をかけるのか?
どうせ、すぐに連れ戻されることはわかっているだろうに・・・・・。
俺に捕まえに来てほしいとしか思えない行動だが、逃げ込む先が気に食わない。
どうせ、またフランスかスペインのところなんだろう・・・・。
まったく・・・・・たいがいにしろというものだ・・・・・・・。
**************************************
「なあなあ、リト。そんでいつ、こっち来れるん?」
「うーん、そうだなあ・・・・今の仕事に一段落ついてから・・・かなあ・・。」
「もうそんなん、すっとばして、今すぐ来てほしいんよ!
なあ、リト。俺すげー困ってるんよ。どうしようかって思うしー。
お前がきてくれれば、なんとか考え、まとまると思うンよ。
そんでもって、俺んちに出来たテーマパーク来て遊んでいくしー!あと、俺んちの工場、新しいのできたんよ。そんで・・・・。」
「ちょ、ちょっと待って!!」
いつものように、いっきにまくしたてるフェリクスにトーリスは当惑する。
「頼むから、もっとわかるように言って!!」
(って言っても無駄なんだけどさ・・・・。)
「もう、口でなんか説明出来ないしー!俺、なんか怖くて、あそこ行けないしー!」
「怖い?あそこってどこ?」
「もう!リト!!とにかく来てくれないと困るしー!!
来てくれないと、俺、バルト海に潜るしー!」
「はあ?何言ってんの?あのね、ポー!何度も言ってるけど・・・!」
トーリスはあきらめながらもフェリクスに説明を求める。
どうやら、何かを怖がっていて、そこに行けないらしいが、何が何だかわっぱりわからない。
フェリクスは、もう泣き声になって電話口でまくしてている。
はあっとトーリスはため息をつく。
「わかったよ・・・・。来週の月曜日に、なんとか行けるようにするから・・・。」
「月曜日!!月曜日までなんて待てないしー!」
「ポー!!あのね!その日には絶対に行くから!!それでいいね!!」
ちょっと強引だが、はっきりとさせないとまたこの後一時間以上泣きごとが続く。
この忙しい中、それは避けたい。
「うん!!わかった!!待ってるしー!絶対にすぐに来てな!
よし!んなら、それまで俺、そっち行って待つしー!」
「はあっ?!こっち来るって・・・?!あのね、ポー!俺、仕事が忙しいから・・!」
作品名:【ヘタリア】兄さんが消えない理由マリエンブルク城篇2-1 作家名:まこ