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【ヘタリア】兄さんが消えない理由マリエンブルク城篇2-1

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ガチャン!と電話が切れた。


ああああ、とトーリスはうめく。

(仕事が忙しいって言ってるだろおおお!!)

しかし、フェリクスにはそんなことおかまいなしだ。

(しかも、俺のうちに来るって・・・・。はあ・・・・。)

来ると言ったら絶対に来るのだろう。
もう仕事をあきらめるしかない・・・・。

トーリスは、とりかかっていた書類に
「保留」の判を押し、上司に電話した。




そして、それから数時間後、フェリクスが真っ青な顔でトーリスの家に駆け込んできたのだった。
トーリスはお茶を入れて、ひとまず興奮状態のフェリクスをなだめる。

「で、いったいどうしたの?何をそんなに怖がってるわけ?」

(俺の仕事を邪魔してまでさあ・・・・・。いつもの事だけど・・・。)

「リトォ・・・・・・・!!俺、怖いンよ!怖いンよーーー!!」

「うん。怖かったね。よしよし。じゃあ、何が怖かったのか俺に話せるかい?」

抱きついてきたフェリクスの頭をなでてやる。
もう、トーリスにしてみれば、フェリクスの相手はなれたものだ。

「俺んちに、あいつの城あるじゃん。あれ以来、俺の上司の城ってなってたけど。」

「あいつの城?あれ以来?俺の上司の城?」

相変わらず、フェリクスの話はすっとんでいて、よくわからない。

「グルンヴァルトの後だしー!今度、世界遺産に登録されるって俺の上司が言ってたし!」

「ああ、マルボルクの城のことだね。ギルベルト君がプロイセン・・・じゃなくて、ドイツ騎士団だったときのね。へえー、あの城、世界遺産になるんだ。」

「世界遺産になるまえに、俺にいろいろ整備しといてーって上司が言うンよ。」

「ああ、めんどくさい手続きとか、景観保護とかいろいろうるさいよね・・・。俺のとこも大変だったから・・・。」

「そんで、俺、あの城、調べに行ったんよー!そしたら!!!出た!出た!
出たんよーーー!!」

「出た・・・って何が?」

「もう、怖い!怖い!!もうあんなとこに絶対行かんしー!!」

フェリクスはそう言うなり、もっと強くしがみついてきた。

「ちょ、ちょっと!ポー!何が出たのさ?」

「いやいや、行ったら、きっと化けてでるしーー!無理、無理、無理いいー!」

がたがたと震えてだきつくフェリクスに、もうわけがわからないが、とにかくマルボルクの城で「何か」がでて、それを怖がっているんだ、ということだけはわかった。

(ああー、もう忙しいんだけどなあ・・・・。俺が行くしかないだろうな・・・・。
それにしても、こんなに怖がるなんて、一体何を見たんだろう?!)

この後にくる、面倒な処理は全部自分がやるんだろうな、と思いつつ、トーリスにとってもマルボルクの城は懐かしかった。
ポーランドと一緒に連合王国となって、ドイツ騎士団を破り、追いつめた記念の城だ。

(大戦後に破壊された城の修復が進んでいるとは聞いていたけど・・・・。
世界遺産に登録されるなんてねえ。)

トーリスは時代の流れを感じる。

ふと思った。
今は、「ドイツ騎士団」ではないけれど、あの城はもともとギルベルトが住んでいたのだ。
世界遺産になるのなら、元住人に城の内部がどうなっていて、どう機能していたのかなど説明してもらえば、と。

それに・・・・・。

(ポーが何怖がってるのか知らないけど、ギルベルト君なら、きっとなんとか出来るんじゃないだろうか・・・。あそこ詳しいだろうし。)

しかし、ソヴィエト時代に一緒に「ソ連圏」として暮らしていた時思ったが、彼、ギルベルトは一筋縄ではいかない面倒な性格だ・・・・・。
几帳面で、真面目だと思うし、仕事も早いのだが、その気になるまでが長い。
長すぎる・・・・!
ある意味、扱いにくさはポーランドのそれと同じか、それ以上か・・・・。
俺様ぶりは、騎士団だった昔から全く変わっていない・・・・。
でも、元「自分の根城」が世界遺産になるのだからちょっとは協力してもらってもいいだろう。
トーリスの家の、世界遺産の登録の時の、あの大変さ・・・・・・。
思い出しても、身震いがする。

(うーん、ドイツさんに頼んでみようかなあ・・・。どうせギルベルト君、ひまなはずだし・・・・。)

泣きわめくフェリクスをなだめながら、トーリスはぼんやりと考えていた。



*******************************






「兄さんは来てないのか?!本当に?!」
「ああ、いないよ。なんなら、うちじゅう探してみてもいいよ。」

フランシスがからかうようにルートヴィッヒに言う。
「なに、あいつまたどっか行っちゃったのぉ?お前も手のかかる兄のお守りは大変だねえ・・。」

にやにやとするフランシスを見て、なにか隠しているのでは?と疑うが、兄が隠れているような気配はしない。
それに、フランシスの後ろには、彼にしなだれかかっている女性が・・・・・。

ルートヴィッヒは、こほんとせきをすると、少し赤くなった顔を引き締めた。

「すまなかった。来客中に。兄さんが来たら伝えてくれ。俺はポーランドに行っている。すぐに連絡が欲しいと。」
「んー、わかった。何。お前、もう行っちゃうの?」
「ああ、邪魔して悪かった。上司にも言われてるんだ。すぐに兄さんを探しださなくちゃならん。」
「ポーランドねえ。時間があるなら俺んちでめしでも食っていけばいいのに・・・。
今日はこれからパーティなのよ。お前の都合がつくなら、少しだけでも寄ってけば?」

「いや、ありがとう。フランシス。本当に行かないとだめなんだ。」

「そうか。じゃあ今度、仕事抜きで遊びにおいで。お兄さんがうまいもん作ってやるよ。あのごくつぶしは連れてきてもいいけど・・・・。ちょっと、お前さんだけに話したい事があるから、都合いい時にいつでもいいから、来てくれると嬉しいな。」

(フランシスは兄の事となると、俺に優しいな・・。昔からの友人だからか。)

そんな事を思いながら、礼を言って、早々にフランシス宅から撤退する。

フランシスの好意はありがたいが、フランスのパーティは苦手だった。
むせかえる香水とたばこと、延々と続くフランス映画のような話・・・・・。

それに、あの後ろにいた女性・・・・。
邪魔をするなど、犬に食われろ、だ!

(全く、兄さんめ。俺にこんな手間をかけさせて・・・・・。
見つけたらただじゃおかないぞ。)

もし、いるとしたら、次はスペインのうちか。
ルートヴィッヒはスペインのうちに電話をかける。

何十回とかけたあと、ようやく電話に人が出た。

「はい。」

不機嫌な声。

「スペインか?俺はドイ・・・」

ドイツだと言う前に、

「ちぎーーーーーー!」

という雄たけびが受話器を通して響いてくる。

「なんの用だ!!このじゃかいも野郎っ!!」

耳がきいーんと響く・・・・。

「ロマーノか・・・。あいにくとお前に用じゃないんだ。
スペインはいるか?聞きたいことがあるのだが・・。」

「うるせ!!スペインは取り込み中だ!!それもこれも、みんなお前の兄貴のせいだっつーの!!
このケ・バッレ!!あいつがうるさくて、スペインも俺も、大変だ!