ハッピーエンドしか望まない
首元に擦り寄る頭が酷く愛おしかった。
「僕も、静雄のことが、好きだよ」
愛の言葉が静雄の鼓膜を震わせる。
あとはもう、激情に身を任せるだけだ。
白いシーツでふたりきり。
蒼い眸が静雄を映し、静雄の眸にも帝人が映し出される。
お互いしか無い距離。
欲しくてたまらなかったものがここに在る。
「帝人」
「・・・うん」
「帝人、帝人」
「うん」
細い指が頬を滑った。
泣き虫だね、静雄は、そう言って帝人は、笑った。
静雄が愛しているままの姿で。
(恋がようやくはじまる)
作品名:ハッピーエンドしか望まない 作家名:いの