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再び星はやってくる【アニカビ第2期署名支援】

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 ナイトメアを倒してもすぐには全宇宙の平和は戻らない。
 星の戦士として成長したカービィは銀河戦士団の呼びかけに応え、メタナイト卿(きょう)とともに広い宇宙へと旅立った。
 そしてこの物語はそれから十数年後に始まる。

「……」
「何を考えている?」
 メタナイト卿が宇宙艇(うちゅうてい)の運転をしているカービィに声をかけた。
「キミと同じこと」
「ふ…そうか」
 そう言ってふたりは窓から見える星、ポップスターを見つめた。
「もうすぐみんなに会えるんだね」
「ああ、そうだ」
 その言葉にカービィの横顔が輝く。
「ようし、速度あげるよ!」
 ボタンとレバーを操作する。
 と突然宇宙艇がガタンと揺(ゆ)れた。
「カービィ……」
「そうだ…これいつもと、違う…機体…」
「……」
 そしてそのままふたりの乗った宇宙艇はポップスターに墜落(ついらく)していった。

「デデデ陛下!」
 女性が部屋からこっそりと抜け出そうとしているデデデ大王を呼びとめる。
「まだお仕事が残っていますよ」
「うんぐ」
 彼女のあくまでも穏(おだ)やかな視線で見つめられデデデは唾(つば)を飲む。
「分かった、やるぞいやるぞい!」
「さすが陛下。民を思い仕事に励(はげ)む姿は皆、感嘆(かんたん)します」
「そ、そうかぞい。わ、わしは誉(ほめ)められてるのか」
 その言葉に顔がゆるむ。
「それではがんばってください」
 そう言って彼女は部屋にデデデを押しこめると戸を閉めた。
「まったく、ちょうしがいいんだから」
 彼女――フームはそう呟(つぶ)いてくすくす笑う。
「あら…あれは」
 窓の向こうから見える空に光る筋が見えた。
「まさか!」
 フームは思わず駆け出す。途中でワドルドゥ隊長にぶつかりそうになり謝罪を口にしながらも走るのをやめない。
「フーム様が城の中で走るのを久しぶりに見たな…」
 その言葉はフームの耳に入らなかった。

 胸が高鳴る。似てる。あのときと、あの日と、私の前に“星”が降ってきたあの――
 フームが肩を上下させつつ、足をとめたその向こうには不時着した宇宙艇が煙を上げていた。そして……。
「いたたたた…」
 とまあるいピンクの体が起き上がる。
「カービィ!」
「フーム!」
 カービィは声の主(ぬし)に気がつくとピョイっと飛び上がりフームに抱きつく。
「久しぶりカービィ」
「久しぶり! フームすごく大人っぽくなったね」
「ふふ、カービィも少し大きくなった?」
「ああ、それに強くなった」
 フームの耳に懐かしい声がもう一つ聞こえた。もう一度機体のほうを見るとその上に立っているひとがいた。
「メタナイト卿!」
「久しいな、フーム」
 メタナイト卿はマントの土ぼこりを払うと体にマントを巻きつける。
「元気そうね」
「ああ、そなたもな」
 そうこうしているうちに騒(さわ)ぎに気付いた他の村人たちがわらわらと姿を見せた。
 そしてこの星を救ったかつての英雄を歓迎した。

「任務(にんむ)で近くまで来たから、オーサー卿たちには内緒でこっそり来ちゃったんだ」
「まぁ、カービィはともかくメタナイト卿、あなたまでそんなことしちゃっていいの?」
 と城へと続く大通りを歩きながら楽しげな眼をしつつフームは尋(たず)ねた。
「少し顔を見せるつもりだけだったんだがな……御覧(ごらん)のように宇宙艇は壊れてしまったから仕方あるまい。
……もともと調子が悪かったのだろう。それもあってなじみのこの星で調整をするつもりだったのだが……不幸なことに墜落のほうが早かったようだな」
 それが本当なのか嘘なのかフームに知る術(すべ)はないのであるが、あまりの堂々とした作り話にカービィのほうが吹き出しそうになった。
 けれどメタナイト卿の仮面の奥の黄色い目がこちらを睨(にら)んでいるのに気づき表情を戻す。
 そんなふたりの様子に気がつかなかったのかフームは
「今日はパーティを開くわ」
 星の戦士の帰還(きかん)パーティを村中総出(そうで)でね、とウインクをする。
「しかしいいのか? 勝手にそんなことを決めて」
「いいのよ、大臣は私なんですから」
 と芝居がかった調子と手振りでメタナイト卿に応じた。
「ほう、そうなのか…すると」
「ゴホン、えーおふたりさんちょっといいかね?」
 振り返ると警官の制服を着た男性が立っていた。
「ブン!」
「カービィ、メタナイト卿久しぶり」
 ブンはニカっと歯を見せた。
「そうか署長の後を継(つ)いで……」
 メタナイト卿が得心(とくしん)したように言った。
「そう! 俺もこの村が好きだからさ、警官として守りの力になりたいと思ったんだ」
 へへっと頭を掻(か)く。
「立派になったなブン」
 ブンはそのメタナイトからの評価に誇らしげに敬礼をした。

 城に到着するとデデデ大王は執務室(しつむしつ)で書類と格闘(かくとう)していた。
「久しぶりだね。だいおー」
 にっこりと笑うカービィにデデデ大王は目をまん丸にして叫(さけ)んだ。
「かかかかか、カービィ!」
 勢いよく椅子(いす)から飛び降り、ついでに積み重なった書類の山が崩(くず)れたが、そんなことを気にも留めずデデデ大王はカービィを抱き寄せ頬(ほお)ずりをした。
「あー、このやわらかい体の感覚……懐かしいぞい」
「くすぐったいよ、もう」
 とカービィも照れながらやんわりと文句を言う。
「お久しぶりです、陛下」
 メタナイト卿が書類の束を渡しながら挨拶(あいさつ)をした。
「メタナイト! お前も来てたのか!」
「ええ」
 カービィの姿を見とめたときとは違い若干(じゃっかん)ひきつった表情になる。
 あまりの露骨(ろこつ)さに内心苦笑(くしょう)しつつもそんなことはこちらは顔に出さず、というか仮面のせいで見えないのであるけれども、事情を脚色(きゃくしょく)と虚構(きょこう)を交えつつ説明した。
「せっかくですので再会を祝(しゅく)してパーティを開くのはいかがでしょう、陛下?」
 そうフームが疑問の形をとりながらも提案(ていあん)する。
 そしてデデデはその意見にのることで村人が自分に感謝するなどと言うメリットを聞き、大王主催で祝賀会(しゅくがかい)を開くことになった。
「ときに陛下。ソードとブレイドをお借りしてもよろしいでしょうか」
 宇宙艇の修繕(しゅうぜん)をしたいのです、とメタナイト卿が申し入れをする。
 実は旅立ちのときソードナイト・ブレイドナイトの両名はププビレッジに残してきたのだ。
 本人たちは自分たちの主(あるじ)にに付いていくことを強く希望したがメタナイト卿はそれを許さなかったのである。
 デデデがまたいかがわしいものに手を出したりしないようにするための監視(かんし)役という意図。
 自分に絶対の信頼を置いてくれるからそこできればその命を長く保ってほしいという親心であった。
「だったらエスカルゴンもつれていくぞい」
 メカだったらあやつも詳しいぞいと勧(すす)めた。
「……陛下」
 ため息をつきながらフームが諌(いさ)める。
「せっかくの水入らずなんですから手を貸すのは野暮(やぼ)ってものでしょう」