【APH】あったかも知れないひとつの物語【独伊】
イタリアはそのドイツの言葉に、心底嬉しそうに笑って見せた。
「……それなら、良かったぁ」
最上の笑顔でもって答えるイタリアにドイツが唇を重ねれば、じわりと唾液に溶けて広がる血の味を感じた。
そうして、最後。
「さようなら――、愛する人」
「愛しているよ、ずっと、ずっと」
重なった二つの声は、見つめ合うその視線は、酷く乾いた音を立てて無機質な灰色に塗り潰された。
・狂っていたのはどっち?
狂わせたのはどっち?
(その答えは誰も知らない)
作品名:【APH】あったかも知れないひとつの物語【独伊】 作家名:三月