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【腐向け】熱が伝わる【小太官】

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ひとまず胸をなでおろしたが、彼がまだ服を着ていなかったことを思い出した。
湯気のおかげで幾分暖かいとはいえ、湯冷めさせては大変だし早く着替えを…
…と思ったところで、官兵衛さんからの強い視線に気付いた。

―うん?何か気に障ることをしてしまっただろうか?

だがそれにしては様子がおかしい。
どうやら睨まれているようなのだが、彼の顔はなぜかえらく真っ赤なのだ。
湯冷めするどころか、湯あたりしたかのような様相をしているのが不思議で首を傾げる。

「…あ~。お前さん、他意は無かったんだな…」

そんな俺の様子をどう受け取ったのか、官兵衛さんは頬を染めたまま視線を反らした。
何か言いたげに口をもごもごさせていることは分かるのだが、今一つ要領を得ない。
時折、いくらなんでもあそこは…とか、でも真顔だしな…と断片的には聞こえるのだが…
彼が何を言いたいのかは気になるが、湯冷めが心配だったので先に服を着せると
着替え終わると同時に無言で帰り支度を始められてしまった。

―官兵衛さん、俺は貴方に嫌な思いをさせてしまったのですか…?

珍しく楽しげだった彼に、自分が不快な思いをさせたのかと考えると悔しくて堪らない。
帰りの道中でこっそりと落ち込んでいたら、官兵衛さんには気付かれてしまったようで
ばつが悪そうな顔で俺のほうにチラチラと視線を送ってきている。

「あのな、風切羽。別にお前さんは悪くないぞ。」

小生の火傷をなんとかしようとしてくれたんだろう?と続けて言われた。
…最近は官兵衛さんも無口な俺の意見を正確に読みとってくれるようになった。

「さっきのは小生の火傷が心配だっただけなんだろう?それは分かっているさ。」

そろそろ筆談用の紙と筆を置いてきてもいいのではないかと思える。
だが、今はむしろ読みとらないでいてほしかった。逆にますます惨めな気持ちになる。

「小生は別に不機嫌なわけではなくて…まあなんだ、やはり羞恥心がな…
 尻だのわき腹なんかをベタベタ触られたら流石に…」

なるほど、俺が薬を塗った場所がまずかったのか。
思い返してみれば鎖が絡んでしまったのは腰から下辺りだったから火傷も…
火傷も…

「…か、風切羽?おーい?」

思い返せばえらいところを触ってしまっていた
どうしようどうしよう
でも火傷ができていたのがそこだったし仕方ないし
ああでも別に抱きしめる必要はなかったかも
意外と焦っていたのかもしれない
なんだ彼は照れていたのか可愛らしい
そうじゃなかった今はそんなこと考える場合じゃなくて
ええとええと…

…ぼふん。







「…」

風切羽が、湯浴み場から帰る途中で消えた…。
突然立ち止ったかと思えば、次の瞬間には黒い羽が残されているのみである。

―おかしいな…うっかり火傷した己の不運ぶりが情けなくて恥ずかしくて
つい気を紛らわせたくなったから風切羽を茶化しただけなんだが…

「なんでお前さんも照れてたんだろうか…?」

身振り手振り、口元のかすかな動き、ほんの少しの筆談…最近の風切羽に増えたものだ。
それらのお陰で以前よりは格段に意思疎通が図れるようになったとはいえ
まだまだあの忍のことは分からない…と小生はひとりごちた。



  終わり