春の目覚め ・2
あれ以降、目を覚まさないままのドイツの隣に座り、プロイセンは呟く。
すでに、ロシアの軍はベルリンの間近まで迫ってきていた。これから、ベルリンでの戦いが始まるだろう。
次に戦場であったら本気で倒すからな、と律儀に宣言してくれたイギリスたちは、本当に今回のことは国として関わっていないという態度で済ますつもりらしい。
次の戦いでケリを付けると、今のドイツに何をする訳でもなく立ち去った。ドイツの様子を気にしながら。
イタリアは最後まで一緒に戦うと、連合側に付いた兄のロマーノの元へ戻ることを拒否したままだった。
無茶はしてくれるなと、そう言うしかなかった。
「っとに、あの大英帝国様も随分と大人しくなったもんだ…」
乾いた笑いを澪し、プロイセンは立ち上がる。
「さぁて。ちょっくら、最後の戦いに行ってくるぜ、ヴェスト」
上司が降伏を認めない限り、戦いは終わらない。戦況は見ずとも分かる状況だというのに。くだらない拘りで国民を殺し続けるのか。
四月二十九日、幹部の人間が総統の許可無くイギリスとアメリカへ降伏を申し出た。
四月三十日、総統官邸地下壕において、総統がピストル自殺を謀る。遺言に決して降伏は認めない、という言葉を残して。
「死んでも迷惑な野郎だな…」
降伏すべきかまだ戦うか、揉めに揉める幹部連中を眺めながら、プロイセンは呟いていた。