君と、明日を。
「それは、今反省すべき点だなって思ってます」
今後改善できるかどうかはともかくとして、子供じゃないんだから駄々こねるなんてみっともない、とかそういう事をすぐ思わないように、ちゃんと臨也に甘えられるように、心がけていこうとは思う。
でもだからって、家を買うのはやり過ぎじゃないのか、さすがに。
「都内に一戸建てなんて、いくらするのか想像もつかないですし・・・ちょっとでもお金入れないと僕にも良心ってものが」
「あのさあ、まだそういう事言ってるの?」
身を乗り出して、喧嘩腰に臨也がビシッとデザート用のフォークを帝人に向かって突き出す。そのきっさきに驚いて身を微かに引いた帝人に向かい、臨也は堂々と言い切った。
「君は、俺のだ。さっきも確認したけど、今後手放す予定もない。なら、そんな俺のワガママのために小道具くらい揃えるさ。それだけの話だろう」
「・・・っ」
何を、恥ずかしいことを言うんだろうか、この人は。
こんな人だったっけ?と帝人は思わず熱を持つ頬を抑えながら考えた。こんな、ストレートな物言いをするような人じゃなかったような気がする。でも、どうしよう。
嬉しい。
「さて、りんごみたいに赤い帝人君に問題です。この鍵の意味することを10文字以内で答えなさい」
正解者には俺の一生をあげましょう。不正解の場合は君の一生をもらいます。どっちに転んだって同じ意味の賞品を告げたその唇に、なんだか無性に噛み付きたくなって、帝人はうずうずする胸を抑えた。
この問題は、今までで一番簡単なような気がする。
だって、正解しか思いつかない。
「結婚してください!」
叫んだ言葉はぴったり10文字。多分臨也ののぞみとは少しずれたような気もするけれど。
「・・・ほんと、君の答えには敵わないな」
臨也が少し照れたように微笑んで、その、ぎこちない笑顔が可愛いなと、思ったから。帝人はもうたまらなくて、だからとりあえず席を立ち、思い切り抱きつくことにした。
ねえ、君と歩いていけるなら、人生の答えだって簡単に見つかってしまう気がするよ。