ケイーレン/係恋
ビールを持って何事もなかったようにテーブルへと着く。
「よーし、お前らもう帰りなさい」
「えぇ〜!これからW/i/iするってばよ」
「ないから、そんなの」
駄々をこねるナルトにカカシが「もう遅いでしょ」と言おうとすると、
「そうですね、これ以上お2人の邪魔しては悪いですし帰りましょうか」
口数少なかったサイがちらりとヤマトの方を見ると、冷たく言い放った。
ピクっとヤマトに緊張が走る。
その様子を見ていたカカシがゆっくりとヤマトに近づく。
すると、座布団に座っていたヤマトの上に股がりギュウっと抱きしめた。
突然の出来事に唖然としてる3人の顔を見回し落ち着いた声で言う。
「先生達、これからイイコトするからさっさと帰れって言ってんの」
固まっているヤマトに「ねっ」という視線を送りながら唇にキスをする。
「なぁーーーーーーーーーーーー!!」
ほぼ同時に叫び声を上げたのはナルトとサクラだった。
反対に冷静な様子でカカシとヤマトの行動を見つめるサイ。
「カ、カカシさん、飲み過ぎですよ〜」
アハハと笑いながら、嬉しいのと恥ずかしいのと驚きと焦る気持ちと、色んな感情がごっちゃになっているのを隠そうとヤマトは必死だ。
「なんかもう、めんどくさいし。いいじゃない」
「よくないです。てかこの体勢が教育上、絶対よくないと思います」
対面座位の形で向かい合い、ヤマトの首に両腕をまわしているカカシを窘(たしな)める。
「まぁ、ナルト、サクラそういう事だから」
ポカンと白目のサクラとナルトに、大した事ないだろというふうに話しかける。
「それから、サイ」
冷めた様子でこちらを見ているサイに、キッと目線を鋭くする。
「こういう形の愛もあるの。受け入れられないならそれでも構わないけど、あからさまな態度はやめてね」
「・・・・」サイは無言のまま俯いた。
「カカシせんせぇ、ぜってぇこれトラウマ決定だって・・」苦虫を噛み潰したような表情と訴えるような口ぶりだ。
「ははは、ナルトは経験済みだろ」
「だぁ!サスケとのあれは事故だってば!!」
涙目のナルトをよしよしと慰める。
赤面で白目のサクラに「大丈夫か?」と意識の確認をすると、ハッと現実に戻ってきたようにカカシを見上げた。
「先生、ヤマト隊長、、アタシは応援してますから」
キラキラと瞳を輝かせる。なにか押してはいけないスイッチを押してしまったようだ。
「うん・・ありがとな」
色々と複雑な心境のまま、カカシは3人を途中まで見送った。
ヤマトの家に戻るとテーブルの上の皿を片付けている背後にまわり、後ろから優しく抱きしめる。
その行為に驚いたのか、皿がゴトッとテーブルの上に小さく落下した。
「3人と一緒に帰ったと思いました」
「後片付けは2人でした方が早いじゃないの」
「でも、そのまま帰ってくれた方が僕は・・」
「じゃあそうする」
振り向き今にも泣き出しそうな表情を返すヤマトに、テーブルの上の皿を床へと落としスペースを空けるとその上に押し倒した。
一瞬驚いたように目を見開いたが、見上げる瞳はすぐに閉じられた。
唇と唇が合わさり、どちらから共なく舌が絡まり合う。
カカシの舌が口の中で柔らかい弧を描くように緩く回される。前歯の付け根をそっと触られ気持ちの良さに体が反応する。
キスだけでこんなにも感じてしまう自分が恐かった。
ガタガタとテーブルが音をたてて揺れ、息をするのも忘れるくらいの激しいキスが繰り返される。
手触りの良い銀髪を掴みカカシの上着の中に手を滑り込ませる。
脇腹を手の平で撫であげ、肌の質感を楽しむように愛撫すると、くすぐったがるカカシが身を少し捩り唇を離した。
ニコッと笑顔を向けられ鼻先にチュッと唇をおとされる。
「我慢してたのは俺の方だったのかな」
その言葉と笑顔にまた耳まで赤くなりそうになるのを隠すように、強くカカシを抱きしめる。
「輪廻転生、あなたに尽くします」
「ははっ、重いな」
「深いって言ってください」
「わかったよ。早くイイコト・・しよっか」
耳元に息をフッと吹きかけられ甘美な誘惑が囁かれた。