【APH】菊さん分裂2【本田菊】
「安心するよろし。何も取って食おうとしてるわけじゃねぇあるよ。……大丈夫、大切なことは、我がちゃぁんと、教えてやるある」
「……ありがとうございます、中国さん」
ほっとしたように微笑んで『彼』が言う。中国はそれに笑い返して、どこか夢を見るような視線で、新しく生まれたばかりだと言う日本を見る。
「――いつか、そう、遠くないときに。お前に色々な事を教えてやれる日が来ると、良いあるなぁ……」
また昔のように、二人で肩を並べて歩いて、月を眺めて。
そんな事が出来る日が来ればいいと思う。
あぁ、いや――違う。
「そのときには……三人で、月を見れたらいいあるねぇ」
「……そう、ですね」
口元を綻ばせる『彼』と、同じようにほのかな笑みを浮かべる日本。
いつか――、また、一緒に過ごすことが当たり前という日々が訪れれば良い、と。
その先に待っている大きな戦争の存在など知る由もなく、彼らは、願っていた。
(またいっしょに、すごせますように。)
作品名:【APH】菊さん分裂2【本田菊】 作家名:三月