二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
ひろにか@二次小説寄り
ひろにか@二次小説寄り
novelistID. 19895
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【東京マグニチュード8.0】目が醒めて、そこに有るのは

INDEX|4ページ/4ページ|

前のページ
 
* * *


 目を覚ましたら、崩れた街並みが動いていた。
 そこは、荷台。怪我人を乗せるための車の。
 東京の街は、そこかしこが壊れてしまっている。深い深い、地震の爪痕。
 そう、これが現実。


「お姉ちゃん?」


 顔を覗き込んでくる悠貴はもちろん小学生の男の子で。
 帰ってきたんだ、と一瞬思いかけてかぶりを振る。


――帰るのは、これからだ。真理さんはもういない。あたしが悠貴を連れて帰るんだ。


「どうしたの? ぼーっとしてたよ?」


 心配そうな顔をする弟を、安心させるように笑顔を浮かべる。


「大丈夫。これで家に帰れるんだと思ったら、ちょっと気が抜けちゃってさ」
「もうすぐうちに帰れるんだね、ぼくたち」


――そう、もうすぐだ。何も心配することなんて無い。


 悠貴の笑顔がすぐ傍にある。このためにこの現実に戻ってきたんだ。後悔なんて、するもんか。


――悠貴が『−−−−−』なんて、あるわけないんだから。


 ・・・・・・?


 変な音がした気がする。けれど、車の駆動音に紛れてよくわからなかった。
 まあいいや、と気持ちを切り替える。
 やっと家に帰れるのだと思うと、気分がよかった。


* * * * *


 真夏の白昼夢の残滓は、いまだ少女を捕らえている。
 それが消え去り、本当の現実が彼女の前に姿を現すまで、あと少し。
 今の彼女は、まだ夢の中。



終わり