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神谷 夏流
神谷 夏流
novelistID. 17932
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竜ヶ峰兄弟 12月21日更新

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「あれおかしいな?聞き間違いかなそうだよそうに決まってる、何だか帝人君がトチ狂ったような発言したと思ったんだけど俺の聞き間違いだよね、もしくは帝人君が猛烈な勢いでかみ倒したかどっちかだと思うんだけど、だってそうじゃないとおかしいだろ、そうじゃないと俺今ここで帝人君を素っ裸に引ん剥いて犯し殺してやりそうなんだけどさ、悪いけどもう一回言ってくれる帝人君」
リビングにある大きな黒い革張りのソファに足を組んで優雅に座る長男。とその向かいに可哀想なくらい小さくなって座っている四男。
愛しい弟に対し優しい笑顔しか向けたことしか無かった兄の顔は、今めちゃくちゃ怖い。口は弧を描いて機嫌よさそうなのに、こめかみや目元が引きつり、目がマジギレ1秒前だ。

「帝人君、俺はもう一度言ってくれって言ってんだけど聞こえてる?大丈夫だよもう聞き間違えたりしないから、でもね帝人君がまた変にかんじゃったりしたらどうしようかな、俺自身でも思いも付かないようなこと突発的にしちゃうかもしれないからそこは気をつけたほうがいいと思うよ?別に犯罪者に進んでなりたいわけじゃないんだけど必要に応じては実行しなくちゃいけない事もある。もちろんつかまるようなヘマはしないけどさ、という訳で…ね、もう一度言ってごらん」
苛立たしげに、組んだ上の足を揺すっている。
まずい、死ぬほど怖い。
兄から発せられる負のオーラにますます体を縮こまらせる。
あぁ涙出てきた。

「チッ、うるせーな。ちょっとは黙れよ臨也」
一方、ソファには座らずキッチンに寄りかかり、換気扇を回しながらタバコを吸う次男。
煙が苦手の四男を気遣って、いつも換気扇の下かベランダに出てはタバコをふかす。口は悪いが優しい兄だ。
「静チャンこそ黙りなよ、俺は帝人君と話してるんだ。脳みそまで筋肉の筋肉馬鹿とは話してる暇無んだからあっち行ってなよ、ってか死ね」
「んだとゴラァァァァ!!!」
「まっ、待って下さい!臨也さん!静雄さん!」
長男と次男は双子の癖に仲が悪い。悪いというか最悪だ。
お互いがお互いを毛嫌いしているので、同じ時間帯に家に居ることがまず珍しい。

そんな2人が揃えば戦争という名の喧嘩が始まるのは必然のことで、今まで家族会議の名目上我慢できていたのが奇跡だ。すぐさま臨戦態勢に入った二人の間に帝人が慌てて止めに入る。
こうなれば泣いてる場合じゃない。
食卓の椅子を振り上げ、今にも臨也に向かって投げつけそうな静雄の腰にタックルし何とか場を収めようと必死である。
二人が本気で殺りあったら家が全壊する。これまでも喧嘩が原因のリフォームという名のほぼ建て替えが何度も行われていた。費用だって馬鹿にならないのだ。
兄たちと比べてひ弱な事は十分に分かっているので、全力でぎゅうぎゅうとしがみつく。

「静雄さん落ち着いて!お願い!」
得役とは正にこの事。
思わず怒りで食いしばっていた次男の口元が緩む。
可愛い可愛い四男が自分の腰にそっと手を回し(全力出してもこんなもん)、尚且つ涙ぐんだ(怖かった臨也のせい)目で見上げてくる。
それだけで静雄の怒りゲージはレッドゾーンから一気にゼロまで簡単に萎むのであった。
「帝人、俺がキレた時はあんまり前に出てくんなって言ったろ?お前には怪我させたくねぇんだよ」
「あっ、うん。ありがとうございます」
振りかぶっていた椅子を机に戻しつつ、しがみ付いたままの帝人の頭を撫でてやる。
勿論、タバコは消火済みだ。

一方、面白くないのは臨也。
眼の中に入れても痛くない(むしろ入れたい)帝人が天敵に引っ付いている。
そのうえ、赤いほっぺでウル目でおねだり――――――ムカツク。
右手のナイフをパチン、パチンと音を立て無言で静雄を威嚇する。
帝人が離れたら直ぐに投げつけられるよう、ナイフの標準を静雄の喉元に合わせたままだ。

「まったくさ、静チャンと同じ空間にいるだけでも死ぬほどウザイのに、俺の帝人君に触らないでくれる?馬鹿がうつったら大変だろ」
「ウゼェのは手前だろうがぁ!!」
瞬時にMAXを振り切る静雄の怒りメーター。
再び持ち上げられそうな椅子を庇い、今度は腕にぶら下がる。
「ダメですってば静雄さん!久瑠璃ちゃんと舞流ちゃんも臨也さん止めるの手伝って!」
「断(無理)」
「そうそう、このままやっちゃったほうが断然おもしろいよ!」
既に安全圏に非難していた妹たちに援護を求めるも素気無くかわされてしまった。
困ったことに、双子の末っ子たちは兄たちの派手な喧嘩を好む節がある。宥めるよりも、火に油(地獄の業火に着火剤)を大量に注ぎ込むのだ。
今も、ソファの背をバリケードにやんやと声援を送っている。

孤立無援。援軍なし。
あぁ、本当に泣きそうだ。