LILAC
「!! ルート!」
走り続けたフェリシアーノは、島の中央の大樹にたどり着いた。大樹の根本では彼の探していた人物が横たわっていた。近付いて顔をのぞく。
「あれ」
ルートヴィッヒは、気持ち良さそうに眠っていた。日は傾き、島の全てを赤く染めている。それを見て、フェリシアーノはふわりと顔をほころばせた。
「みっけ。」
そのとき、
カラン
小さな音がした。フェリシアーノは、自分のポケットから聞こえた様な気がして中をまさぐってみたが、中にあったのはあのビンだけだった。
「? 気のせいかな」
不思議に思い取り出してみると―――
「あ!」
「ルート!ルート!起きて起きて!はやく!」
ルートヴィッヒを酔いそうなほど思いきり揺すり起こす。
「な、何、…っ、フェリシアーノ!?」
「見て!」
ルートヴィッヒにビンをつきつけるフェリシアーノ。その顔はきらきらと輝いている。
「な、何だ…?」
近すぎて見えなかったビンを少しさげさせてピントをあわせる。
ビンの中には、淡い桃色の球体
「な、なんなんだこれは?」
「ココロだよ!多分!」
「た、多分?」
「だって俺も見たことないもん!」
ビンの中にはいった謎の球体を見てきゃいきゃいはしゃぐフェリシアーノを見つめて、ルートヴィッヒはため息をつき、呟いた。
「帰って…来れたのか」
「え?」
「いや、何でもない。しかし、何故ここがわかった?島に来るのは初めてじゃないのか」
首を横にふるフェリシアーノ。
「初めてだよ。俺、不安とか困るとかそういう感情を感じとるの、得意なんだ。」
そうか、と呟くルートヴィッヒ。信じがたいが、実際ここまで来たのだから真実のようだ。
「あー、フェリシアーノ」
「? なぁに?」
「すまなかった…な。すぐ信じてやれなくて。」
フェリシアーノはぽかんとした表情のままヴェ~と鳴いた。そして、にっこりと笑った。
「いいよそんなこと!」
「しかし…詫びをしなければ」
「大丈夫だって!!だって俺達友達でしょ?」
さぁっとさわやかな風が二人の髪を撫でていった。
「友…達?」
「そうだよ!ルートと俺は友達!ルートは俺の初めての友達!」
ルートヴィッヒはぽかんと、笑うフェリシアーノを見つめ、そして小さく笑った。
「そうか、友達か。」
その言葉を聞いて、嬉しそうに大きく頷くフェリシアーノ。次の瞬間、さっと左手が額にそえられ、敬礼のポーズになった。
「というわけで隊長!ココロ探し、手伝って欲しいであります!」
「(隊長…?)しかし、何をするんだ?」
「わからないであります!」
呆れるルートヴィッヒ
「でも
でもルートが一緒に居てくれれば、出来そうな気がするんだ!」
また、風が吹いた
優しい風が
「…そうか。わかった。」
「やった!ありがとルート!」
「そろそろ帰るか。兄さんが独りで待ってる」
「うん!帰ろ帰ろ~!」
日は遠く水平線の向こうから空を染めて、天使の出発を優しく見守り、そして励ましているように見えた
--------
(オマケ)
「ただいま!」
「おぉ、フェリシアーノちゃん!ルッツ!」
「聞いて聞いてギルベルト!ルートがココロ探し手伝ってくれるって!」
「おぉ!本当かルッツ!」
「あー…まぁ…そうだ」
「よかったなフェリシアーノちゃん!じゃあ俺も手伝「だからギルベルトは応援しててね!」
おしまい