スノードーム
大学ノートの切れ端を細かくたたんだもの。
それを誰がしかけたのか分かっている。帝人くんしかいない。
B5の紙いっぱいに文字が書いてあるのかと思ったら、また中心に小さな字で一言だけ書いてあった。
「なんだよそれ……っ……」
ずっと涙が出なかったのに、なんだか泣けてきた。
一度溢れだすと止まらなかった。
帝人くんとの思い出が脳裏をかすめる。
最後に抱きしめて、優しく口付けて愛してると言ってやりたかった。
だって、あまりにも卑怯だ。だってこれは
「帝人くん! 愛してるんだ! 好きだ! 帝人くんっ、帝人くんっ」
小さな帝人くんの文字を見て叫ぶ。もうこの世のどこにもいない彼女に届くように叫ぶ。
俺だって君に最後まで愛を告げていたかった。
大学ノートの中心には小さな帝人の文字で
――それでも、大好きですよ
「俺だって大好きだ」