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入り浸って気まぐれさん

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危険性を考慮される前に自ら閉じ籠もった賢いこの香りが主体で、此処はまるで不可侵のテリトリーを構築しているかのような空間である。
蚊帳の外を期待され、または飾りの存在への希望を押し付けられて。表面化する前にそそくさと立場を操作して、この部屋をいつの間にか獲得していた。それきり、優れた能力を使用してはいないので非常に惜しい。外見だけのものに囲まれては勿体なくも、授かるべくして持った天賦を腐らせていく。

またいらっしゃったんですか。
呆れた視線もなんのその。あまり人と接する機会が少ないからか臆病なまでに萎縮していた姿が、現在では見る影もない。だが此方の方が素により近いので満足はしている。
「ひどいね、滅多に訪問して貰えることが少ないのに。わざわざ会いに行ってあげてるのになあ」
余計なお世話です。しかも、頼んでませんし。目を付けられても関与しませんよ?
「構わないよ」
童顔には似合わない気難しい思案顔になってしまった。沈んだそのままの表情の口元から吐かれた、重い溜息によってもてなされた。もう少しばかり、柔軟にいけばいいのに。
「俺はそれなりに便利な地位を築いているし、今までの他のやつとは違うから大丈夫だよ?」
それでも、万が一ということがあるでしょうに。
唇の歪みが深くなり、重ねて嘆息。おかわりは遠慮したいところ。

紡ぐ返答の為だけに、既存の単語を選択しては組合せては意味を作るもきりがない。進歩もない。
いつも繰り返される定型として、耳朶から取り入れて若干歪みがある思考を通り過ぎる。そうして吐き出されたのは、殆どにおいて捻くれている返答そのものである。一つ進んでは一つ退くなどという進歩のなさが此処では推奨されている。
俺ときみと、己と他者の垣根をひょいと足を上げるだけで越えていけるものでもないから、近しくとまで理解を示せはしないがそろそろイメージの挽回を始めようかな。強かさ、回りくどさが我ながら大いに気に入ってはいたのだが、それもやむなし。
幾人、慕い慕われの関係を築いた人々との別れがあったのだろうか。出逢った頃には時既に遅く、すぐに後ろずざるその足は引き止めですら容易ではないものになってしまっていた。きっとこのこは、失うくらいなら希望を抱かずにと、最初から失くすものをなくそうと懸命に縋っているのかもしれない。傷は癒えなくて痕の部位も膿を掻き出せず、触れぬよう、しかしそのしくしくと痛み続ける患部を意識から外せなくてずっと足掻いているのかもしれない。
悪いけど、独りにしてあげないから。この身に放っておける道理がない由縁を抱くのなら、尚のこと気になり続けるだろうから。
作品名:入り浸って気まぐれさん 作家名:じゃく