【APH】詰め放題パックそのに【伊独】
あかし
好きになったら、もう、逃げられない。
好きになったら、もう、逃さない。
「……ルーイ」
名前を、呼ぶ。だいすきなひとの名前を、呼ぶ。
目の前の、だいすきなひとの名前を、呼ぶ。
彼は、答えない。顔を赤くさせて、気まずそうに俺から目を逸らす。
「ルーイ」
今度はもっとはっきりとその名前を呼ぶ。そうすれば彼は小さく肩を震わせて、何だ、と震える声でようやく答えた。
壁に突いた両腕。両腕で彼を囲うようにして、壁に追い詰めて。それはきっと卑怯なやり口なのだろうと思う。けれど、気が付いた瞬間にはもう、こんな状況になっていた。自分の意識の及ばないうちに、彼を、自分の領域に閉じ込めていた。
放課後の教室。二人きりの教室。
夕焼けの色に染まった四角い空間、それはどこか、倒錯的な雰囲気を醸し出していた。
「ねぇ、目を、逸らさないで?」
「っ……」
声でその心を絡め取るように。俺がゆっくりと囁くように言えば、彼の顔にさす朱が更に濃くなる。
「……すきだよ」
囁いて。
「おれは、ルーイが、すき」
その心に、種を、蒔いて。
「ルーイは、おれのこと、すき?」
早く、早く、芽吹けと。
ねぇ、俺の心はお前だけを欲しているよ。お前が欲しい。心も、身体も、その全て。自分のものと言う証を刻みつけたくてしょうがないと、心が叫んでるんだ。
だからお前からも、返事が欲しい。
「おれのこと、ほしいと、おもう?」
距離を縮める。吐息が触れ合うほどに近く。
彼のそらいろの瞳は、熱っぽく潤んでいて。舐めたら甘い味がしそうだ、と思った。
「……ルーイ」
壁に突いていた手で、そっと、彼の手首を取る。ちゅ、と音を立てて口吻けを施せば、彼は小さく声を上げて、身体を震わせた。
あぁ、可愛い、可愛い。
今すぐ、ここで、自分のものにしてしまいたい。
「ねぇ、ルーイ」
いいでしょう?
答えを視線に乗せれば、彼は、瞼をきつく閉じる。微かに滲んだ涙が愛おしい。
「ルーイ、あいしているよ」
その言葉が、麻薬のように、お前を侵食すればいい。
俺の事だけ考えていれば、それで良い。
ゆっくり、ゆっくりと、時間をかけて、刻みつけてあげる。俺だけのものだと言うその証。心も身体もとろとろに蕩けるまで、キスをして、撫でて、愛でて、あいしてると、囁いて。
そうして、俺だけに溺れてしまえば、良いんだ。
(おれだけをしればいい、)
(ほかのひとにはふれさせない、)
(おまえは、おれだけのもの。)
作品名:【APH】詰め放題パックそのに【伊独】 作家名:三月