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【APH】詰め放題パックそのに【伊独】

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あなただけ





 秘め事。二人きりの秘密。たった一つでもそんなものが恋人同士の中にあるだけで、その関係は深まるように感じる。
 俺はそんな事を思いながら、隣で健やかな寝息を立てているフェリシアーノを見やった。健康そうな肌色。僅かに緩んでいるのは、何かいい夢でも見ているから、だろうか。それとも隣に自分がいるからだとか――少し自惚れてみても、良いんだろうか。
 一糸纏わぬ状態で二人、同じベッドで眠っているなんて。そんな誰にも言えないような事を平然とやってのける恋人だから、俺がそんな事を思っていると知っても呆れたりはしない、だろう。
 もぞ、と枕を抱えて腰を伸ばせば行為の余韻で腰が痛む。けれどその痛みさえも甘く感じられる自分がいるのを自覚した。
 いつもならばこういった行為の後は俺の方が疲れて早くに眠ってしまうけれど、今日は逆だ。俺はなかなか寝付けずに、フェリシアーノを起こしてしまわないように息を潜めていた。熱っぽさが身体から逃げていかずに落ち着かないのだ。
 何となく、起こしてしまわないように気をつけながらフェリシアーノの髪を撫でた。柔らかく、俺よりもうんと女らしい。すべすべの頬も華奢な身体も、どこを取っても男のものとは思えない。
 対する俺はといえば、随分と身長も伸びてフェリシアーノよりも体格もいい。こんな俺を可愛いという未だに良く分からないのだが。笑う顔も少し困ったような顔も、泣き顔も。俺がフェリシアーノのそういった表情を見るたびに思うのは格好良いというよりも、綺麗とか、可愛いとか、そういった感想だ。
 それ即ち、フェリシアーノが俺に向けてくる言葉でもあるのだが。
「(俺が抱かれているのだって……まぁ、成り行きだしな)」
 俺だって男だ。フェリシアーノが俺を思い切り甘く愛してくれるのと同じように、俺もこいつを愛してみたいと思うことだってある。けれど身体に馴染んでしまったフェリシアーノの熱が、指が、掌が。優しく触れられる度に、そんな考えは一瞬にして消え去ってしまうのだ。
 調教されたものだと我ながら愕然とするけれど、結局、フェリシアーノに愛されることが嫌ではないのだ、俺は。
「(まぁ、その。結局俺は……)」
 そういう思考に至る度に、とことんまでフェリシアーノのことが好きなのだと、思い知らされる。
 痛くても苦しくても、それが快感になってしまうくらいに甘く愛してくれるフェリシアーノのことが大好きなのだ。きっとその快楽だって、彼だから感じられるもの。
 フェリシアーノしか知らない身体。けれど俺は、それでいいと思っている。
「お前以外――俺は、要らない。知らなくていい」
 キスもセックスも、全てフェリシアーノとするから意味を持つ。ただ気持ち良くなりたいのではない。フェリシアーノに俺を感じて欲しい、俺で気持ちよくなって欲しい。最初は考えている余裕すらなかったそんな事さえ、今は考えられる。そしてそれは紛れもない本心だ。
 ゆっくりと――時間をかけて育った思いが果てるときは、あるのだろうか。それくらいまでに俺はフェリシアーノに気持ちを奪われていた。
「……お前にも俺以外を、知らないで欲しい」
 ちゅっと口吻けた髪からは汗とシャンプーの匂いが混ざって漂ってくる。
 情事の余韻。ほんのりと熱の冷め出した身体は少しずつ、睡魔に従ってゆるゆると力を失っていく。
「……あいしてる」
 現実と夢の境で呟いた言葉が届いたのかは、分からないが。
 フェリシアーノの口元がほんのりと、幸せそうに緩んだ気がした。