二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

神様も嘘をつく こんな世界だから

INDEX|1ページ/4ページ|

次のページ
 
ねぇ。ボードゲームで、皆は、何が好きかな?

オセロ・囲碁・チェス。どれも僕は、一通りできるんだけど。

でも一番、僕は、将棋が好きなんだ。たまに一樹とお互いの暇なときに、散歩しながら、庭園や中庭で将棋盤を広げて、将棋を打ったりしてるんだけど…。

一樹相手だと、勝負も五分五分で、あんまり僕の思うとおりに、楽しめないのが難点だけどね。何しろあの子逃げるのうまいから、油断すると、するりと逃げられちゃう。

だから、たまに囲いに成功すると本当嬉しい。

将棋やボードゲームは、相手を少しずつ囲い込んで追い詰めていくのが、とても面白いと思う。初めは本当に何気なく交わし、少しづつ相手を油断させつつ、僕の囲いに誘いこむ。そして、相手に気づかれないように包囲して、気づいたときは、もうどうにもならない局面まで、追い詰めたときの相手の顔を見るのがとても楽しくて大好きなんだ。



晴れ渡った綺麗な五月晴れの午後。僕は、本来なら、今ごろ保健室で、大好きな琥太郎先生相手に、ちょっと遊んでる予定だった。そう予定だからね。突然予定は、変更されることは常なんだよ。

でも、こういう予定は想定外なんだけどな。

「あの…水嶋さん。あと、何処か行きたいところとかありますか?」左にいるだろうと、思う星月先生の幼馴染に声をかける。返事がない。ただ、ぼんやりと前を見て歩いているが、さっきから話しかけても「…ああ…」「そう…」と生返事ばかり。初めに、一樹に半ば押し付けられて、図書室まで案内して、話したりしてたときは愛想もそんなに悪い感じでもなかったのにな。途中からこんな感じ。何、なんか僕、したっけ?一応、大好きな琥太郎先生の幼馴染ってことで。かなりいつも以上に、愛想はよく接してるつもりなのになぁ。やっぱり琥太郎先生が気になるのかしら。なら、気になるのは僕もだってばっっ。と図書室から専用通路を抜けて中庭を横切り、今、校舎に向けて続いている通路まできたところで逡巡する。もう少ししたらまた保健室に着いちゃうけど、もう保健室に行ってもいいのかな…とぼんやり考えつつ


ちらりと見るが、やはり、彼の心はココにあらず…なんだよね。何なの。この人。こっちは、本当ならこんなことしてるのだって業腹なのに。と、さらりと吹いてくるそよ風に、なんとなく髪をさらわれて、ああ…せっかくセットした髪が乱れちゃうのに…とあわてて髪を押さえる。相手もぐしゃぐしゃと髪が風で乱されてるのにされるがままだ。ただでさえ、天然だろう髪が、風で思う様にさらに乱されている。やっぱり変だ。


そもそも、僕がこんなことをする羽目になったのは、まず一時間前に遡らないとならない。


土曜日は、この星月学園は専門科目のみ週ごとにカリキュラムが決められていて、科によっては休みのところもあるが、科によっては 1時限のみとか、午前のみとか、5時限まできっちり授業が決められている場合もある。で…今日はその土曜日で、基本的に大会前などと特別に何か無い限り、部活動は土日は休みとなっているので。僕の科は午前のみ授業だったこともあり、お昼ご飯をたべて、そのまま保健室に向かった。今日は土曜日だし、きっと今の時間だと。あのサッカー部には用も無い時すら顔は出しているくせにうちの弓道部には呼んでも全然来もしない顧問のドチビも、たしか県大会が近いサッカー部の指導でいないはず。と、いそいそと朝から作った差し入れのお菓子と共に保健室に浮き足だって足を運んでいた。

別に『ドチビ』って言ってるけど直獅先生が嫌いだからではない。むしろ親しみこめて心の中で僕と一樹の中ではそう呼ばれている。なんか個人的に話しているのは楽しいし、からかうと面白くてむしろ好きな部類ではあるが空気を読めないから、大好きな星月先生と居るときには、いたらいたで邪魔なのだ。あの人は。そうこうするうちに保健室の前に着いてしまった。

「先生。こんにちはっっ。」カラリと満面の必殺の笑顔で、引き戸の白い保健室のドアをあけたら、愛しい僕の先生以外に、なんと先客が二人もいた。思わず笑顔のままで、内心で舌打ちが出る。一人は「よぉ…誉。なんだ。お前、今、暇か?あ…この人は先生の幼馴染で水嶋さんだ。」相変わらず、まあ・・無駄にいつも声がでかいよねと思う僕がよく知る親友の生徒会長である不知火一樹。で、もう一人は、この僕の隣で、現在ぼんやりしている水嶋郁さんという大学生。らしい。背が僕より少し高いゆるくウェーブのかかった天然らしき髪の俗に言うイケメンが其処にいた。白いハーフコートに首にはチェックの質の良さ気なブランド物らしきストールを巻いて薄いピンクのシャツとチャコールのベストという普通の男なら絶対やぼったいに違いないよっっなファッションで佇んでいた。(わーー。なんか上質な人形みたい。)整った横顔は、こっちのことなど眼中にもないのか。しきりに下に屈みこんで心配そうな声で、ベッドに向かっていた。と言うのも、当の先生は、ベッドで、なんだか青い顔で横になっていたのだ。

「琥太兄ぃ…大丈夫。本当、お医者さんにいかなくても平気?」そのイケメンな幼馴染とやらは、僕のことは眼中にもなく、星月先生に声をかけている。まあ別にいいんだけどさ。でも、本当に星月先生の顔色は悪いなぁ。と、チラッと一樹をみれば、いつもの上着ひっかけたままの姿で心配そうに星月先生に話しかけている幼馴染と反対のほうの壁にもたれたように立ち、腕組みしてその二人のやり取りをニヤニヤと笑ったようにして見ている。二人が全然気づいてないから、だけど。わーーー。なんか、あの顔は、また変なこと考えてるよ。と、じーっと見ていたら、一樹がこっちの視線に気づいて顎をしゃくり、ただ目線で「詮索すんなよ。誉」っていうのを送ってきた。あーあ、やだやだ。これだからデレカシーのない奴は嫌いなんだよ。たぶん、また碌なことしてないんだ。僕の好きな星月先生に。酷い。

「星月先生。どうしたんですか。」思わず、一樹に背を向けた方向から駆け寄る。なんとなく、ああいう一樹の姿は正面からは見たくないんだよね。胸糞悪いから。それと本当に先生の様子も心配なのもあり、いつも以上にぶりっ子して話しかける。そんな僕の顔を見て、一瞬先生が綻んだ笑顔を見せてくれた。やっぱりかわいいよねー。