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神様も嘘をつく こんな世界だから

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入学したての頃、具合が悪くなり、尋ねた保健室にいたのが、先生で、寝ている僕に笑いかけてくれた笑顔に、その場で僕は一目惚れしてしまった。話し方や優しい手つきもどれも好き。そのうちどんどん先生のことを知るようになるにつれて、彼のことが好きになり、卒業する時に、この思いを伝えようと僕としては珍しくかなり温めていた恋だった。なのに、今は、この一樹の慰み者よろしく先生が独占されているなんて。本当嫌なんだけど。でも、途中、聴いた一樹の事情もなんとなく判るし。本当心中は複雑だよ。でもさ、星月先生は悪くないし、もし本当に一樹が彼をどうにかするっていうなら僕はどちらも本気で守ってあげようって心に誓ってる。一樹も星月先生もどっちも好きだから、二人で最悪の結末だけは迎えては欲しくない。ぐるぐる考えていると、そんな僕の向こうにいる一樹を星月先生はちらりと見た後、はぁ…とため息をついて「大丈夫。もうだいぶ気分はよくなった。ありがとう。金久保。郁。」ふらりと起きだした。

そんな星月先生の表情と態度で(なんだよ。一樹の奴。また、星月先生に何かやってるのかな。)と不信が確信に変りつつあった。

その証拠に僕のほうのベッドについてる手が幽かに震えてるじゃない。全然大丈夫そうじゃないんだけど。と思いつつ「でも…」声をかけた瞬間「誉。お前、今からどうせ暇だろ。」さっきと同じ壁にもたれた格好で、一樹が話しに割って入ってきた。

暇―――。このやろー。そりゃ暇だからココにきたけど、それを改めてはっきり言われると、例え一樹でもムカつくなぁ。と思い不機嫌丸出しに

「暇じゃないよ。星月先生が具合悪いなら僕が看病してあげなきゃ!!」振り向きつつ言うと「君…誰?」今度は真正面から怪訝そうに問いかけられる。

おっと、忘れてた。今日は、僕と一樹以外に、もう一人先客がいたんだった。っていうか。今、この人、僕に気づいたみたい。鈍いのか。ただ単に眼中になかったのか。なんか傷つくなー。もう。

「二年の西洋占星術科の金久保誉です。」条件反射で相手に笑顔で答えれば、正面の幼馴染はと、言うと、ふーん…と一瞬だけ相槌らしき返答のあと、そのまま「琥太兄ぃ。大丈夫」と言って、こっちは、また無視ときた。

うーん…と態度悪っっ。と、なんとなく、ぐつぐつと心が煮えるのを押さえて、いつもの営業スマイルも翳りそうなテンションになりつつも笑顔のまま、一樹のほうをくるりと振り返り見れば、こちらに気づき、にかっと楽しそうに笑ってる。ピン…と、なんとなく同類の勘ではないが察しが着いた。

(相変わらず、根性悪。)とりあえず立ち上がりツカツカと、一樹のほうに向かい歩き正面に立ったあと、にこりと笑ってみぞおちに拳を軽く入れる。ドッ…大げさに一樹が「うおっっ」前のめるように上半身を動かすがそんなアクション知ったことではない。

「一樹、どういうつもり。なんか、先生にやってるでしょ。」笑顔のまま一樹の耳元近くで眉を寄せ小声で凄むと一樹は腕を組んだ格好のまま、フッ…と鼻歌でも歌うように人の悪い笑みを讃えて、ちろりと上唇を嘗めた。そして、右手に持ってるコントローラーをちらりと僕に見せる。スイッチは弱で止まっている。

遠隔操作式のバイブレータ。

うわーー。趣味わるいなぁ。どうりで先生が具合悪いわけだ。そんなの挿れられてたら、泣きも入るだろうに。よく耐えてるよね。あの人

「ちょっとっっ一樹」と、(なんてことしてんだ止めろよっっ)それをオフにしようとしたら、するりとまた隠してしまった。ああ、もう。このバカと心で一樹に対して毒づく。

しかし一樹は僕の悪態なんて、何処吹く風とばかり、僕の肩越しに見える先生と幼馴染をいつもの清廉潔白然な頼もしい生徒会長の笑顔のまま見つつ

「なぁ、ちょうど琥太郎ちゃんとお楽しみの最中でさ、あれが来たんだよ。めんどくせぇから。お前、しばらくアレの相手しててくれよ。誉」こっちの話す間もなく小声でぼそぼそとそう言ってくる。

やだよっって言う前に、今度は先生から声がかかった。

「金久保。すまん。あの、悪いが、郁を図書室まで案内してやってくれ。」なんとも切羽詰ったような声で頼まれた。

くるりと振り向くと、先生がなんか泣きそうな顔で口元を手で押さえつつ縋るような目でこちらを見ている。もしかして色々限界なのかもしれない。

先生の頼みは断れないし。一樹は僕の影に隠れてるのをいいことに、ニヤニヤ笑ってる。


で、仕方なく先生の為に、現在に至るわけだ。幼馴染の郁さんとやらも、先生に言われて、しぶしぶながら僕と出てきた。元々大学で使う資料を探しにココに来たらしくて、図書室には先生と行くつもりで来たみたい。そりゃ、それが変って僕なんかでごめんなさいね。


しかし、相手っていってもどれくらいだよ。ちょっと一樹にメールしてみようかなーと、さすがにもういいんじゃないのっっと思った瞬間。

「ねぇ…君、もういいよ。あとは、僕、もう帰るから」横から声がかかる。へ?って思わず見返すと、相手は、もう後ろを向いて勝手にコートの裾を翻して反対方向にカッカッと歩き出してた。

「…え…あの、ちょっ」思わず、そう声をかけると。
「琥太兄ぃには、お大事にっていっといて。じゃあね。お疲れ様。今日はありがとう。」と後ろを向きもせず片手をあげ、勝手にそのまま元きた道を戻っていっている。

ちょっとちょっと。何それ。


思わず、漫画でいうところの、そして一人取り残されました。ちーん…みたいな状況になってしまい、しばらく呆然としてしまう。


さて、でも人間、もういいと言われて、そんなわけに行くわけないでしょう。何が気に入らないのか知らないけど、そんな勝手に帰れって言われてもさ。と、瞬間、我に返り、とりあえず彼の後を追いかけた。


意外と探すのに苦労するかと思ったら、そうでもなく彼は中庭の隅に座り込んでいた。大分外れにいるので、なんとなく通り過ぎそうになってしまったが、白いコートが緑の中でもぞもぞ動いてたので、なんとなく立ち止まり発見となる。大分、ショックでぼんやりしてたから。急いで追いかけながら、もう図書室までとか帰ってたりしてと、ちょっとその道のりの長さを覚悟してただけに、僕は、そんなに戻らず目的のものを見つけて何となくほっとする。さてと、何といって声をかけるかなと。ちょっと息を整えつつ思案していたら、ふぃに、目的が立ち上がり振り返った。

「「…ア…」」
と同時に声が出てしまう。ふっと見れば腕になにやら首に巻いてたストールに包んで抱いていた。すると、彼はキッとこっちを睨み付けてくる。え・・なんで睨まれてるの。と、こっちもおもわず眉を寄せると、ちょっと震えたような声で、はっきりと、こちらにこんな言葉を投げてきた。

「帰ってって言ったのに・・・。なんでいるの。」抱えてるものをぎゅっと握りこむようにして、そのまま右横へ向きを変えて歩を進め始める。どうやら見られたら都合が悪いものでも抱えてるらしい。

ふーーーん。そう…そうなんだ。