センセイ。
「お前ら早く帰れよー。」
アーサーが言った。
はーい、と次々に生徒が出ていく。俺が「アーサー」というと、アーサーは黒板を消しに行った。
「ねぇ、アーサー。」
「カークランド先生、だ。ジョーンズ。これで言うの何回目だ?」
彼は俺を見て言った。でも目を見ていない。
「・・・アーサー、質問があるんだけど。」
彼は眉をしかめた。彼の眉は太い。
「なんだ?」
「アーサーって、恋人いるのかい?」
「こっ・・・じゅ、授業に関係ある質問をしろ!」
彼は一瞬取り乱したがすぐに黒板を消す作業に戻り、その赤くなった顔を隠した。
「アーサー、童貞?」
「なっ・・おま、え、いい加減にしろよ!」
俺は黒板消しを持っていないほうのアーサーの腕をつかんで、質問した。
「ねぇ、アーサー。・・・恋人、いないよね?」
彼は俺を驚きと戸惑いの顔で俺を見上げた。
とんっ、と黒板に背中がついた。
俺はもう片方の腕もつかんだ。
「おまっ・・・近いっ顔・・・!あっ痛い…!!」
「・・・アーサー、いいよね?」