いいわけ分割ディープキス
同じ大きさに開いた口が、タクトの歯をそっと噛むのとか、上あごを舌でなぞられるのとか、舌を吸い上げられるのとか、いくらでも続けていられるほどタクトは気持ちよかった。
それでもどれだけ時間がたったのか、随分長くキスをしていたと思う。
乱れる呼吸でスガタはそっと体を起こした。
「これ以上は、まずい。」
その言葉にタクトはどっと力を抜いた。
あ、こんなに力んでたんだ。と思うほど、体がベットに沈んだ。
しばらく二人の荒い呼吸だけが部屋に響いた。
まるで今日の夕暮れの二人みたいだ。
「・・・ふ。」
タクトが笑ったのでスガタが目だけで聞き返す。
「これ以上って、これも充分まずいことになってない?」
そういうとスガタは、タクトの横に仰向けに落ちた。
「どうだろうな。ただのキスさ。」
タクトは妙に清々しい気持ちになった。
目は完全に冴えてしまった、今日このまま眠れるかはわからないが。
この宵が醒めたら元通り。
また今まで通りの関係に戻るだろう。
けれど寂しい瞳の友人は、随分心が軽くなったようだった。
彼が背負う半分はタクトに。
口づけとして分割された。
作品名:いいわけ分割ディープキス 作家名:らむめ