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たたかう放課後シックスティーン

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「日が長くなったしね。」
と言い訳するように付け加えて。
「やったー!」
「やったー!」
タクトがワコに続けて言うと、二人はハイタッチする。
今日はただの木曜日。
少し先を歩くタイガーとジャガーは、「先に帰ってますね。」と言い、サリナも元通りになった三人に気を利かせて、「また明日。」と言った。
「仲良しでいいな〜。」なんていいながら、「私もマリノが待ってるから!」とミズノが駆け出し大きく手を降る。

遠回りと言ってもなんてことない。
海辺をゆっくり歩いて、ワコの神社が見えたら道路に上がるだけ。
それだけでもいい、明日もまた会えるから、今日のさよならをほんの少し伸ばしたい、そんな気持ちが共有できれば贅沢だ。
それにその帰りには、タクトとスガタは二人で話せる。
ソレは教室でするような周りを気にかけた会話じゃなくて、二人だけの会話だからタクトは心地いい。

「ほんとに日が長くなったなぁ。」
スガタが言う。
「回り道できるからいいよね!」
タクトが言う。
「随分活き活きしてるね。」
石の塀を歩きながら逆光ぎみのタクトが振り向く。
「僕はいつだって今を謳歌してるよ!」
「そうだな。」
波の音を聞きながら二人は無言で歩いた。
この時間とこの道が、どこまでも続けばいいのに。
タクトがそう思うほどそれは心地いいものだった。
16歳、放課後、南の島、寄り道。
何もかもが心地よかった。
「夜が来るのがもったいないな。闘ってるのがもったいない。」
スガタはタクトを見上げたが、光で表情が見えない。
タクトがスガタを見下ろすと、自分の影が濃くて表情が読めない。
タクトは塀から軽やかに飛び降りてスガタの隣。
「こんな良い所でスガタとワコに会えたのにね。」
スガタの顔が見える距離。
タクトは満面の笑みだった。
「タクト・・・。」さえぎって力強く言った。
「でもこれも運命なんだよ。」
気付けばシンドウ宅へ続く長い坂道の前に差し掛かっていた。

タクトは数歩駆け出して振り向いた。
「じゃあまた!」
そう言うと颯爽と走り出した。

ああ、そろそろか。

今日はゼロ時間でもう一度会う。
スガタはそんな気がした。
タクトがさよならを言わなかったから。
そしてそれは本当になった。



「さあ!無意味な闘いはとっとと終わらせようぜ!!!」


タクトは何度でも叫ぶ。
どこまでも続くあの道のために。



「アプリポワゼ!!!!!」