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GUNSLINGER BOYⅨ

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君に隠した本音






雨の降りしきる灰色の街の中、帝人は独りとぼとぼと歩き続けていた。
足は裸足のまま、黒いカッターシャツも濡れて肌に張り付いている。季節はもう冬に近く、身体は芯から冷え切っていたが大して気にならない。気にする余裕もない。
雨に打たれているのに目元だけが未だに熱を持っている。

臨也のもとを飛び出してどれぐらい経ったのかは分からないが、街を彷徨い歩いている間に既に何人もの怪しい大人に声をかけられたり無理に手を引かれたりした。その度に手を振り払って全力で逃げた。そんなことを繰り返しているうちにすっかり周囲は見慣れない景色になっていて、ここがどこなのか分からない。裏道なので人通りはほとんど無く、聞こえるのは雨の音だけだ。
帝人はシャッターの下りている、もう潰れているらしい店の軒先に足を抱えて座り込んだ。
警察に見つかれば補導されてしまうかもしれない。義体である自分が住所や名前など名乗れるはずもない。

これで本当に義体失格だ。

担当官を置いて、勝手に飛び出して、呼びとめる言葉も無視して。
きっとこれで完全に愛想を尽かされた。
さっきの言葉の通り、きっと、これでもう臨也とのフラテッロは解消だ。
公社に戻ったら薬漬けにされて今までの臨也との記憶は全部消されてしまうのだ。

『君なんかと組んだのは外れだった』 

『今からでも新羅に頼んで新しい義体ができたら替えてもらおっかな』

『もう君には飽きたし』

頭の中で言葉がリピートされる。
おさまっていたはずの涙がまた溢れ出してきて膝に額をぎゅっと押し付けた。
どこか故障してしまったんだろうか。おかしくなってしまったんだろうか。
平気、だったはずなのに。
でも、あのまま飛び出さずに臨也さんの前にいたら僕は・・・
ぶるりと身体を震わせる。
怖い。怖い怖い。
自分が怖い。
どうして、あんなこと。


新しい、義体。 新しい担当官。
そう聞いた時に湧きあがった、黒い衝動。


「ふぇ・・・・」

しゃっくりあげるのを止められない。
何が悲しいのか分からない。だって自分は義体で、担当官と公社の命令には絶対服従で。
でも、それでも・・

あの時、僕は何をしようとした?
あの時僕はなんであんな衝動に駆られた?
あんな、あんなこと・・・・



「やだよぉ・・・・・」


こんな腕、とれて治らなくていい。







作品名:GUNSLINGER BOYⅨ 作家名:net