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GUNSLINGER BOYⅨ

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ジャリ、と靴の音が近くで聞こえた。

小さく顔を上げると大きな黒い革靴と黒い足が見えた。
涙でかすんでぼやけていたが少なくとも臨也の足ではない。
普段ならすぐに気配に気づいたはずだが、それどころではない心理状況だったため気がつかなかった。
ああ、また逃げなきゃ。

「おい・・・お前、」

だるい頭で考えた時、耳に入った低い声には聞き覚えがあった。

「こんなとこで何やってんだ」
「・・・・・・・」

見上げれば黒い傘を背景に、鮮やかな金髪の青年が見降ろしていた。
確か名前は、平和島、静雄。
わずか数時間前に自分が殺そうとした相手。

静雄は帝人の泣き顔を見てわずかに驚いたように目を見開いた。

「おま・・なんで泣いて、」
「・・・・・・・」
「おいっ」

無言で逃げようとしたが腕を片手で掴まれる。
今まで絡んできた人間の手とはケタ違いの力強さで振りほどけない。

「はなしてくださいっ!」
「ちょっと待てって!お前裸足の上にびしょ濡れ・・」
「臨也さんを傷つける人は僕の敵ですっ!」
「ああもう、分かったよ!分かったから、もうあいつには構わないから、だから逃げるなって!」

観念した帝人が大人しくなり再び座りこむと静雄は手を離してため息をついた。
ポケットから几帳面にたたまれたハンカチを取り出してずいっと帝人の前に差し出す。

「ほら、ちょっと顔拭け。」
「・・・・・・」

どういう意図か分からないがとりあえずこの人は自分に危害を加える気は無いらしい。
だんまりを決め込んでいると静雄は困ったように眉を寄せ帝人の頭を撫でた。

「・・何かあったのか?」
「・・・・・・」
「別に、無理に聞こうとは思わないけどよ。
 なんだ、その・・道に迷ってんなら送ってやるよ。」

以前助けられた言葉。
しかしその静雄の言葉にも、帝人はただ無言で瞳を見返すだけだ。
たしかに、ここがどこだかは分からない。
一人ではきっと帰れない。
しかし、今は・・・

臨也さんを傷つける人は僕の敵だ。
なら・・僕自身も、僕の敵だ。

「・・・・・・い、です」
「ん?」
「帰る場所、ないので、もういいです」

消え入るようなかすれた声でそう言うと膝をぎゅっと抱えなおして目をつぶった。










作品名:GUNSLINGER BOYⅨ 作家名:net