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GUNSLINGER BOYⅨ

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臨也はきれた息を整えながら被ったいたフードを取った。

「くっそ・・・・どこ行ったんだよ・・・・」


帝人がいなくなったという事実に想像以上に焦っている自分がいる。なんてザマだ。
思えば、一緒に暮らすようになってからはメンテナンス等以外はほとんど一緒にいた気がする。
裸足で黒いシャツを着た子供は見かけなかったかと聞き込みをしながら捜してここまで来たが、なかなか見つからない。
中には『俺たちも捜してるんだ。あのガキ人のこと突き飛ばして逃げやがって』などとほざくバカがいたので情報を聞き出してから蹴り倒してどぶに突っ込んでやった。

兎にも角にも早く見つけなければ。
もし自分が見つけられなければ公社が直々に捜索することになるだろう。そうなれば、見つかった後の帝人は欠陥有りとして強制的に自分と引き離されるかもしれない。どっちにしても強力な投薬と電気刺激による再洗脳が行われるのは確かだ。
想像するだけで居ても立ってもいられなくなり再び走り出す。
そんなこと、絶対にさせてたまるかよ。
こんな時ばかりはあの筋肉バカの体力と犬みたいな嗅覚と勘が欲しくなる。
基本的に優良義体だった帝人が逃亡するなんてまさか想定されてなかったから発信機も埋め込まれてないし。
だからといって足で探すなど無茶でしかない。
しかし無茶だからと諦めることもできない。

そもそもなんで逃げ出したんだ。
酷いことを言ってしまったのは確かだが、今までにだって冷たく当たることはあった。
それでも泣くことはなかったし手を弾かれたのも初めてだ。
まぁ、理由がなんであれ逃げたら連れ戻す以外には無い。
あの子は俺のものだ。
俺のもとを離れるなんて許さない。

また聞き込みをしながらしばらく捜し回ったが見つからない。
流石に疲労がたまってきたし体温も冷えきっている。
傘をさすと視界も狭まるし走りにくいからと濡れても構わずいたが流石にそろそろキツいかもしれない。
ほんと、どこいったんだよマジで。
苛立ち交じりに壁に寄り掛かった壁を拳で叩く。
その時、聞きたくもない声がした。

「よお、ノミ蟲。いいツラしてんじゃねぇか」

足音のした方向を見ると立っていたのは金髪バーテン服。
最悪だ。今日は厄日か。
なぜこいつも傘をさしていないのか謎だが正直どうでもいい。

「静ちゃん・・・・悪いけど、いま君なんかに構ってる暇ないんだよね。どっか行ってよ」

シッシッと手を振ると静雄はキレるでもなく立ち去るでもなく、不機嫌そうに目を細めて言った。

「俺だって本当はてめーなんかと話したかねーよ」
「だったら、」
「誰か捜してんじゃないのか? あの帝人とかいうガキとか」

そう静雄が言った瞬間、
臨也は目の色を変えてポケットからナイフを取り出し静雄に向けてかまえた。
疲れた顔をしていたのが嘘のように殺気をまとい静雄を睨みつける。

「いつ、どこで見たんだ」
「さあな。」
「さっさと答えろよっ!! マジで殺すよ?」

余裕の無い態度でそう言うとナイフの刃を更に静雄に近づける。
静雄は怯むでもなく臨也を見降ろすと、呆れたように呟いた。

「・・やっぱりあいつのこと大事なんじゃねーか」
「はっ?何わけ分かんないこと言ってんだよ」
「お前にも弱点ができたってこったな。天邪鬼な態度ばっかとってるからこんなことになんだよ。いい気味だ」
「はっ、弱点とか、頭沸いてんの?アレは俺の所有物だから仕方なく捜してんだよ。日本語まで分かんなくなったの?」
「バカはてめーだ。こっちから見るとバレバレなんだよ。そんな必死になっといて何を言い訳してやがる」

そう言われてぐっと言葉につまる。
なんで静ちゃんなんかに言い合いで負けなきゃならないんだよ。何なんだ一体。
確かに今日の態度を振り返ってみれば、昔の自分を知ってる奴らから見たら奇妙に見えたかもしれない。昔はあんな風に人前でキレたりしなかった。そもそもキレる要因がなかった。
しかし今はそんなことどうでもいい。とにかく、帝人を連れ戻したい。


「うるさい!ほっとけよ!こんなどうでもいい口喧嘩してる暇なんて無いんだよ!
 そう思いたきゃそう思ってりゃいいだろ!
ああそうだよあの子が心配で捜し回ってんだよ。さっさとどこで見たのか教えろよ!」


そう、半ば叫ぶように言うと静雄はやれやれという風に首を振り、右の方へ視線を送った。
臨也もつられてそちらを見る。

黒い大きな傘を持った少年が立っていた。

一瞬思考がついてゆかず、カランと音を立てて持っていたナイフが地面に落ちた。





作品名:GUNSLINGER BOYⅨ 作家名:net