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残像

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イタリア、ミルフィオーレの本部の一角の部屋に骸は捕われていた。
その部屋は白い壁に囲まれていて、床には白いアネモネがこれでもかというくらい大量に敷きつめられている。
骸が目を覚ました瞬間、鼻孔を花が持つ独特な香りが満たしてゆく。
骸は乾いた血が張り付いたままの手袋をしたまま、アネモネを一房掴むと、目の前に高く掲げた。
乾ききっていなかったわずかな血が花びらに着いている。自分が慕うべきボス、白蘭の愛している花であるにも関わらず、骸はどうも愛せそうにはなかった。
この花を見ていると心がかきみだされる。会ったことのない、淡い茶色の髪をした少年のような風貌をした人物の姿がチラついて離れない。
その人物の横には自分がいる。知っている人物なのだ、おそらく。
だが、ひたすら断片的に姿が出てくるだけで、はっきりと誰とは特定できない。
骸の手に嵌っている、インディゴブルーをしたマーレリングが蛍光灯に反射して光る
。自分の手には一生馴染まないような気がした。ここには本来自分自身で望んで手に入れた、手放したくないものがあったはずだ。
チラついている、自分自身の記憶の残像がそれを何よりも示している。
骸は花を手放すと、その手で両目を覆った。



「・・・何ですか、君が任務以外で僕を呼び出すなんて珍しいではないですか」
「・・・うん、た、確かにそうだよね・・・ごめん。た、ただちょっと確認したいことがあって」
執務室のソファに向かい合うように座り、骸は綱吉の話を聞いていた。
あの黒曜戦から10年近く経つというのに、綱吉の骸に対する態度は相変わらずおどおどとしている。
視線を行き場がないのかふらふらと漂わせていたのが、躊躇いがちに骸を上目遣いで見てきた。
骸は思わずどきりとする。2人きりになったこと自体も思わぬ出来事だった。
綱吉は無意識でやっていることは分かりきっているが、それが余計罪だと骸は思う。
「・・・あっ、あのさ、守護者継承式のことなんだけど・・・で、出る??骸・・・?」
一瞬沈黙する。骸の顔が険しくなった。鋭い目つきで睨まれ、綱吉は思わず肩を大きくびくりと動かした。
ボンゴレで代々行われている守護者継承式は明後日に迫っている。
作品名:残像 作家名:豚なすび