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くらくらくらい

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「付き合うのはきみみたいな、柔らかくもないし甘やかしてくれないこでなくともよかったんだ」
膝と膝の間に人を挟み両腕を包むようにしてクロスさせて座りつつ、臨也さんが抑えた音量で言う。退院したては過保護なのは定例である。
兎さんにした林檎をフォークで胴体を刺し、口元に持ってくる。あーん。若干躊躇いながらも従って姿勢を調整し、咀嚼。それを見届ける様は雛にご飯を運ぶ、甲斐甲斐しい親鳥のそれ。
「なら他を素直にあたって下さいよ」
「なあに、怒ってるの。まったくどうしてきみみたいなこなんだろね」
耳朶付近で低めの声音で囁かれても困惑するだけである。
「知りません」
臨也さんでないので。
「わからない?」
「知りませんってば」
そしてあなたも僕ではない。互いに焦れた色が混じり始める。
「だからどうして怒ってるの。恋は確固たる故がないねって話なのに」
「…」
往々にしてこのように容易く、意思の疎通が滞る。ままならないとはこのようなものか。





またなのか。
またなんですね。

呆れる反応も毎度あり。意識のない間はこうして臨也さんの居ない日常を送る夢をみているけれど、全くもって心穏やかではいられない。
通算で四捨五入すれば二桁になりそうであるけども七転八立と、またいつも通りに洒落こむことにする。くっついて、離れて、そのまたくっついて。
結び直す赤い糸はとっくにくたびれているが、切れる気配は微塵もせず。
作品名:くらくらくらい 作家名:じゃく