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苦さと甘さのフィフティ・フィフティ

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授業中に骸が聞いているのは、今目の前で眠たくなるような授業をしている教師の話ではなく、開けられている窓から聞こえてくる沢田綱吉の声だった。
今年で25になる綱吉の声は、男にしては少し高めで、いかにも男の声といった感じのものではない。
例えるならば、カフェオレのようだ、と骸は思う。苦さと甘さがほどよく混ざって、舌に溶けてゆく。
何もなければ苦さと甘さが共存していられる。けれど今は、いつもより苦く骸の心に溶ける。
あれから綱吉とは会っていない。気まずいのと、家に帰ってもお互い顔を合わせないくらい生活の時間の誤差があるということが原因になっている。
喧嘩は初めてではなかったが、いつも謝るのは綱吉の方からだったが、それもない。
頬杖をつきながら、目を閉じて綱吉の声を聞いた。
こんなに胸を締め付けられる思いをしているのに、一向に振り向いてくれそうな素振りもなく案外元気そうな綱吉に少し腹が立つ。
バカ綱吉、と胸の内で呟いた。本当に、バカすぎて困る。


「あのなあ、骸、もったいないだろ、こんなに数学とかできるんだったら理系に―」
「嫌です」
数日前のことだった。進路希望調査票と期末テストの結果を元にしての面談をした。
出席番号が最後の骸との面談で長かった生徒との面談期間も終わる。
ただの生徒と教師の関係ではない骸との面談が最後でよかったと綱吉は思った。
変に伸びても不自然に思われないですむし、プライベートなことも絡めて話せる。
「でもな、将来的にもいいんだぞ、お、お給料とか」
「ここを出たらすぐに君の妻になる予定ですから。先日の進路希望調査にもそう書いたはずですが?」
骸を説得していた綱吉は黙り込んだかと思えば顔を一気に赤くするなり視線を反らした。
骸の進路希望には確かに沢田綱吉の妻と書いてあった。
他は空欄だ。
綱吉はふざけるなと言っていいのか嬉しいと言っていいのかよく分からなくなって骸の進路希望調査表を四つ折りにして職員室の机の一番手前の引き出しにいれておいてある。
「あっ、あのなあ・・・ほ、他にやりたいことあるだろ、じ、人生経験は豊富な方がいいしさ、骸だったらいいとこ行けるぞ。そ、それに・・・け、結婚は今じゃなくても・・・できるしさ」