【東方】東方遊神記14
さて、博麗神社までの道程は特筆すべきことが何一つ無かったので、割愛させていただく。所変わって、ここは幻想郷と顕界のちょうど境目に位置する場所、長きに亘り【わたり】八雲 紫と共に幻想郷を監視、管理してきた博麗の巫女の拠点である、博麗神社だ。今代は博麗 霊夢【はくれい れいむ】が巫女を務めている。霊夢の代になってからというもの、なぜか頻繁に異変が起きている。まぁどれもそんなに深刻なものではないんだが。それでもここ十年くらいの間に様々な異変が起き、色々な存在がこの幻想郷にいることがわかってきた。
因みに、博麗の一族は女系であり、普通の人間と比べて長命で、若い時間が長かった。これは八雲 紫と関わりをもったことが原因だと思われる。霊夢は年齢のことを聞かれると、怒りはしないがいつもはぐらかしている。本来の霊夢の性格なら普通に実年齢を言うのだが、人外はともかく、人間相手には言う度言う度信じてもらえず、いい加減めんどくさくなった。筆者はこの当時の霊夢の年齢を知っているが、まぁ別に大して重要ではないので、公表はしない。
話を神社に戻す。この博麗神社は幻想郷と顕界の境界に建っているのは前述のとおりだが、方向が顕界の方に向かっている。つまり、幻想郷側から博麗神社に入る場合、鬱蒼【うっそう】と茂る草木を掻き分け、神社の裏手から入ることになる。もっとも、博麗神社に訪れる大抵の者は正面に回り込んでちゃんと玄関から訪問するか、あるいわそもそもそんなもの関係ないといった風に個々のやり方で訪れるかだ。例を挙げれば、紫はスキマを使い、魔理沙は飛んで来るといったように。今回の守屋ファミリーも、空から飛んできて直接境内に降り立った。
「やあ霊夢。しばらくぶりだね。この前は面倒をかけてすまなかったね」
この寒空の中を、なぜか外で掃き掃除らしきことをしていた霊夢の目の前に降りた神奈子が、到着早々挨拶した。
・・・さて、ここからどれだけ時間を短縮できるかだが・・・。
「ヤッホー霊夢。相変わらず不景気そうな顔だね~」
諏訪子はこういう口をきいていい人物と、そうでない人物をちゃんと分けることができる。つまり霊夢は言ってもいい人物ということだ。・・・それにしてもちょっとひどいが。「こんにちわ、霊夢さん」
早苗は至って普通。さすが守屋ファミリー唯一の良心。
突然の神の訪問にも、霊夢は別段驚きはしない。むしろ、はぁ~っと溜息をつき、
「全員でぞろぞろと・・・何か用?」
といったもんである。ここ博麗神社には、人間の参拝客がほとんど来ない。元々この神社は一般的なそれとは違い、幻想郷、そして今の幻想郷時代で言うなら博麗大結界を管理するという目的のためだけに造られたものである。なので、特定の神を祭っていたりはしないのだ。幻想郷に来た当時の神奈子たちには、その事実がかなり衝撃的だった。それで、特定の神はいないが、ここに住む霊夢が様々な異変を解決してきたという経緯から、妖怪を初めとする様々な人外の存在が頻繁に集まるようになった。これは霊夢が人外を強く惹きつける魅力を持っていたからであろう。強いし。強い奴はいつだって憧れの的だ。本人の意思とは無関係に。「まさかあんたたち・・・また何か良からぬ事を企ててるんじゃないでしょうね?もう勘弁してよ、面倒事は」
「いやいや、あの時のことは本当に反省してるから。今度からは何かする時は必ずあんたに一言いれるからさ」
「説得力がまるで無いわね・・・」
神奈子と霊夢のやり取りをずっと聞いていた青蛙神の体が、次第にプルプルと震ええだした。先程の天狗の里を出た件【くだり】でも書いたように、青蛙神は寒さにはめっぽう強い。この震えは寒さからくるものではないようだ。神奈子と青蛙神の更に後ろにいる諏訪子と早苗は、青蛙神の変化に気付いた。そして、その変化が何に起因するのかも予測できていた。
「諏訪子様、青さんに事情を話した方が良いのでは・・・」
「早苗~、あんまり良い子だと世の中つまらないよ。まだ若いんだし。ここはあえて何もしない方が面白くなるに決まってるじゃん」
「はぁ・・・?そういうものですか?」
「そういうものなの!ほらっ、そろそろ爆発するよ。3・・・2・・・1」
諏訪子のカウントダウンのまさに0のタイミングで本当に青蛙神は導火線が燃えきった爆弾のように爆発した。
因みに、博麗の一族は女系であり、普通の人間と比べて長命で、若い時間が長かった。これは八雲 紫と関わりをもったことが原因だと思われる。霊夢は年齢のことを聞かれると、怒りはしないがいつもはぐらかしている。本来の霊夢の性格なら普通に実年齢を言うのだが、人外はともかく、人間相手には言う度言う度信じてもらえず、いい加減めんどくさくなった。筆者はこの当時の霊夢の年齢を知っているが、まぁ別に大して重要ではないので、公表はしない。
話を神社に戻す。この博麗神社は幻想郷と顕界の境界に建っているのは前述のとおりだが、方向が顕界の方に向かっている。つまり、幻想郷側から博麗神社に入る場合、鬱蒼【うっそう】と茂る草木を掻き分け、神社の裏手から入ることになる。もっとも、博麗神社に訪れる大抵の者は正面に回り込んでちゃんと玄関から訪問するか、あるいわそもそもそんなもの関係ないといった風に個々のやり方で訪れるかだ。例を挙げれば、紫はスキマを使い、魔理沙は飛んで来るといったように。今回の守屋ファミリーも、空から飛んできて直接境内に降り立った。
「やあ霊夢。しばらくぶりだね。この前は面倒をかけてすまなかったね」
この寒空の中を、なぜか外で掃き掃除らしきことをしていた霊夢の目の前に降りた神奈子が、到着早々挨拶した。
・・・さて、ここからどれだけ時間を短縮できるかだが・・・。
「ヤッホー霊夢。相変わらず不景気そうな顔だね~」
諏訪子はこういう口をきいていい人物と、そうでない人物をちゃんと分けることができる。つまり霊夢は言ってもいい人物ということだ。・・・それにしてもちょっとひどいが。「こんにちわ、霊夢さん」
早苗は至って普通。さすが守屋ファミリー唯一の良心。
突然の神の訪問にも、霊夢は別段驚きはしない。むしろ、はぁ~っと溜息をつき、
「全員でぞろぞろと・・・何か用?」
といったもんである。ここ博麗神社には、人間の参拝客がほとんど来ない。元々この神社は一般的なそれとは違い、幻想郷、そして今の幻想郷時代で言うなら博麗大結界を管理するという目的のためだけに造られたものである。なので、特定の神を祭っていたりはしないのだ。幻想郷に来た当時の神奈子たちには、その事実がかなり衝撃的だった。それで、特定の神はいないが、ここに住む霊夢が様々な異変を解決してきたという経緯から、妖怪を初めとする様々な人外の存在が頻繁に集まるようになった。これは霊夢が人外を強く惹きつける魅力を持っていたからであろう。強いし。強い奴はいつだって憧れの的だ。本人の意思とは無関係に。「まさかあんたたち・・・また何か良からぬ事を企ててるんじゃないでしょうね?もう勘弁してよ、面倒事は」
「いやいや、あの時のことは本当に反省してるから。今度からは何かする時は必ずあんたに一言いれるからさ」
「説得力がまるで無いわね・・・」
神奈子と霊夢のやり取りをずっと聞いていた青蛙神の体が、次第にプルプルと震ええだした。先程の天狗の里を出た件【くだり】でも書いたように、青蛙神は寒さにはめっぽう強い。この震えは寒さからくるものではないようだ。神奈子と青蛙神の更に後ろにいる諏訪子と早苗は、青蛙神の変化に気付いた。そして、その変化が何に起因するのかも予測できていた。
「諏訪子様、青さんに事情を話した方が良いのでは・・・」
「早苗~、あんまり良い子だと世の中つまらないよ。まだ若いんだし。ここはあえて何もしない方が面白くなるに決まってるじゃん」
「はぁ・・・?そういうものですか?」
「そういうものなの!ほらっ、そろそろ爆発するよ。3・・・2・・・1」
諏訪子のカウントダウンのまさに0のタイミングで本当に青蛙神は導火線が燃えきった爆弾のように爆発した。
作品名:【東方】東方遊神記14 作家名:マルナ・シアス