くもり時々雨 のち 晴れ
ボクね、本当は若のことが好きだったんだ・・・多分、恋してた。
でもね、その想いはあの時にうち砕かれちゃったんだ・・・
ボクには難しいことはわからなかったけど、神の国マハノンっていのうのが地上に浮上してきて、若達はそこへ乗り込もうとしてたんだ。とても危険な戦いだからといって、ボクやエリィさんは一緒に行くの止められちゃったんだっけ。それで、エリィさんとフェイさんが喧嘩しちゃって、その場を逃げ出しちゃったエリィさんをフェイさんが追っかけていったたんだ。
うん、ボクにもエリィさんの気持ちがすごくよくわかったんだ。だって、頭ごなしに危険だから来るなって言われても納得いかないよね。ボクだって同じ気持ちだった。若と離れたくなかった。若と一緒に戦いたかった。だから、もう一度若に詰め寄ってみたんだ。
「ねぇ、若、ボクだって残るのはいやだよ。一緒に連れていって!」
「何言ってんだよ、マルー。お前が来てどうする。ダメだ、お前は残るんだ」
「だって、さっき若、フェイさんに言ったでしょ?『俺だったら、俺についてくるか?って言うぜ』って。だから、もう一度、ちゃんとボクに言ってよ!」
「ちょ、ちょっと待ったぁー!あれはな、好きな女に言う台詞なの、わかる?」
「え、じゃあ、若はボクのことが嫌いなの?」
「い、いや、嫌いじゃないよ。好きだよ」
「じゃあ、言ってよ」
「そのな、だからな、そのなんていうか、好きは好きでも、愛してるとか、そういうのじゃなくて・・・お前の場合はな・・その・・そう!妹だ!妹みたいなもんなんだよ」
妹?・・妹・・・妹・・・・・・・
若のその一言はどうやらボクに大打撃を与えちゃったみたい。
気が付いたら、ボクもエリィさんみたいに逃げ出していた。
「おい、マルー、どうしたんだよ?待てよ」
そんな若の声を振り切ってボクは走り出してた。
そうか・・・ボクは妹だったんだ・・・
若はずっとボクのこと、命がけで護ってきてくれた。いつも優しかった。だから、ボクのこと少しでも・・・って思ってたんだけど、違ってたんだ。それはボクが単に従妹(いとこ)だから、妹みたいだから・・・そんな妹に対する兄のような優しさだったんだ。ただ、それだけ。あまりにも残酷な優しさだよね、それって・・・
部屋で泣いていたボクの所にシタン先生が来てくれた。
「マルー、大丈夫ですか?ほら、泣かないで」
先生は優しくボクの涙を拭ってくれた。
「若君はまだ若い。貴女の気持ちがよくわかってなかったようですね。彼もフェイと同様、もう少し女心というものを知る必要がありそうですね」
「先生・・・」
「貴女もまだまだ若い少女です。でも、将来はきっと素敵なレディーになれますよ。うんと綺麗になって、若を見返しておやりなさい、ね」
そういって、先生はウィンクをしてくれた。
先生がとても優しくて、その時は失恋の痛手が少し和らいだような気がした。
ボクはエリィさんと一緒にニサンに残った。エリィさんはとても穏やかにフェイさんを見送った。仲直りしたんだ・・・よかったよね。それに対してボクはやっぱり若のこと、まともに見れなかった。もし、ボクがエリィさんと同じくらいの歳だったら、若はボクのこと真剣に好きになってくれたのかなぁ・・・ そんなことばかり考えていた。たった2つ歳が違うだけなのにそれが永遠と思えるほど遠いような気がした。
若達がマハノンへ出撃してから数日後、敵からエリィさんのところへメッセージが届いた。フェイさんや若達が捕まっちゃったらしいんだ。助けたければ、エリィさんに一人でゴルゴダの丘に来い、だって。
他のみんなは罠だから行っちゃダメだと彼女を止めたんだけど・・・
「ごめんなさい、みんな!私はただの女なの。好きな人を助けたいだけ・・女の我が侭だと思って、行かせて!」
そう言い残して、彼女は行ってしまった。なにもかも捨てて。
強い人だなぁと思った。もし、ボクがエリィさんの立場だったら、みんなを振り切ってボク一人で突っ込んでいけるのかなぁ・・ボクは若のことそこまで好きになれるのかな・・いや、こんなこと考えてても仕方がないや。いくらボクが若のこと想っても、若には届かないんだもの・・
エリィさんのおかげで若達は無事帰ってきた。でも、代わりにエリィさんは連れ去られちゃった。やがて、デウスっていう神様が覚醒して、最後の戦いが始まろうとしてた。デウスを倒して、ボクらの自由を勝ち取るための戦い。フェイさんは我を取り戻して、再びボクたちの元へ帰ってきてくれた。フェイさんがいるとやっぱり心強いよね。そう、フェイさんにとってはエリィさんを助け出すための戦いなんだ。二人は離ればなれだったけど、フェイさんとエリィさんは強く結びつき合ってたと思った。やっぱり二人が羨ましかった。いつも羨ましかった。
デウスとの最後の決戦の前夜、若達がボクの部屋にきてくれた。
「じゃあ、マルー、行って来るからな」
「若!死ぬんじゃないぞ!絶対だぞ」
「当ったり前じゃねぇか!俺は死なねぇ!変なこというんじゃねぇよ!」
「ゴメン・・・。うん・・・そうだよね。きっと帰ってくるよね・・・」
言うつもりはなかったんだ・・だけど、若にもう逢えなくなるんじゃないかと、
すごく不安だったから・・つい言ってしまったんだ。
「帰ってきたらそん時はボク・・・もっと若のそばにいれたらいいなぁ・・なんて」
「わわっ、何言ってんだマルー。やめろって!!」
ダメだなぁ、ボクって・・また若を困らせちゃったじゃないか・・・
若にとってはボクに慕われることはすごく迷惑なんだ・・・わかってたことだったのに・・・
「フフッ、なんちゃって!!若ったら狼狽しちゃって!!」
また涙が出そうだったけど、なんとかそれだけ言い返してこらえたんだ。だって、こんなところでいきなりボクが泣き出したりしちゃったら、若、出撃できなくなっちゃうもの。
若達はみんな出撃していった。エメラダさんもマリアさんだって・・・そういえば、エメラダさん、急に大きくなってびっくりしたよなぁ。でも、すごく羨ましかった。ボクも今すぐ大きくなれたら、もっと若達の役に立てるんだろうなぁ・・そしたら、若はボクの事・・・ああ、ダメだよ、またおんなじ事考えてる。ボクじゃ、ダメなのに、ボクじゃ・・・・
でもね、その想いはあの時にうち砕かれちゃったんだ・・・
ボクには難しいことはわからなかったけど、神の国マハノンっていのうのが地上に浮上してきて、若達はそこへ乗り込もうとしてたんだ。とても危険な戦いだからといって、ボクやエリィさんは一緒に行くの止められちゃったんだっけ。それで、エリィさんとフェイさんが喧嘩しちゃって、その場を逃げ出しちゃったエリィさんをフェイさんが追っかけていったたんだ。
うん、ボクにもエリィさんの気持ちがすごくよくわかったんだ。だって、頭ごなしに危険だから来るなって言われても納得いかないよね。ボクだって同じ気持ちだった。若と離れたくなかった。若と一緒に戦いたかった。だから、もう一度若に詰め寄ってみたんだ。
「ねぇ、若、ボクだって残るのはいやだよ。一緒に連れていって!」
「何言ってんだよ、マルー。お前が来てどうする。ダメだ、お前は残るんだ」
「だって、さっき若、フェイさんに言ったでしょ?『俺だったら、俺についてくるか?って言うぜ』って。だから、もう一度、ちゃんとボクに言ってよ!」
「ちょ、ちょっと待ったぁー!あれはな、好きな女に言う台詞なの、わかる?」
「え、じゃあ、若はボクのことが嫌いなの?」
「い、いや、嫌いじゃないよ。好きだよ」
「じゃあ、言ってよ」
「そのな、だからな、そのなんていうか、好きは好きでも、愛してるとか、そういうのじゃなくて・・・お前の場合はな・・その・・そう!妹だ!妹みたいなもんなんだよ」
妹?・・妹・・・妹・・・・・・・
若のその一言はどうやらボクに大打撃を与えちゃったみたい。
気が付いたら、ボクもエリィさんみたいに逃げ出していた。
「おい、マルー、どうしたんだよ?待てよ」
そんな若の声を振り切ってボクは走り出してた。
そうか・・・ボクは妹だったんだ・・・
若はずっとボクのこと、命がけで護ってきてくれた。いつも優しかった。だから、ボクのこと少しでも・・・って思ってたんだけど、違ってたんだ。それはボクが単に従妹(いとこ)だから、妹みたいだから・・・そんな妹に対する兄のような優しさだったんだ。ただ、それだけ。あまりにも残酷な優しさだよね、それって・・・
部屋で泣いていたボクの所にシタン先生が来てくれた。
「マルー、大丈夫ですか?ほら、泣かないで」
先生は優しくボクの涙を拭ってくれた。
「若君はまだ若い。貴女の気持ちがよくわかってなかったようですね。彼もフェイと同様、もう少し女心というものを知る必要がありそうですね」
「先生・・・」
「貴女もまだまだ若い少女です。でも、将来はきっと素敵なレディーになれますよ。うんと綺麗になって、若を見返しておやりなさい、ね」
そういって、先生はウィンクをしてくれた。
先生がとても優しくて、その時は失恋の痛手が少し和らいだような気がした。
ボクはエリィさんと一緒にニサンに残った。エリィさんはとても穏やかにフェイさんを見送った。仲直りしたんだ・・・よかったよね。それに対してボクはやっぱり若のこと、まともに見れなかった。もし、ボクがエリィさんと同じくらいの歳だったら、若はボクのこと真剣に好きになってくれたのかなぁ・・・ そんなことばかり考えていた。たった2つ歳が違うだけなのにそれが永遠と思えるほど遠いような気がした。
若達がマハノンへ出撃してから数日後、敵からエリィさんのところへメッセージが届いた。フェイさんや若達が捕まっちゃったらしいんだ。助けたければ、エリィさんに一人でゴルゴダの丘に来い、だって。
他のみんなは罠だから行っちゃダメだと彼女を止めたんだけど・・・
「ごめんなさい、みんな!私はただの女なの。好きな人を助けたいだけ・・女の我が侭だと思って、行かせて!」
そう言い残して、彼女は行ってしまった。なにもかも捨てて。
強い人だなぁと思った。もし、ボクがエリィさんの立場だったら、みんなを振り切ってボク一人で突っ込んでいけるのかなぁ・・ボクは若のことそこまで好きになれるのかな・・いや、こんなこと考えてても仕方がないや。いくらボクが若のこと想っても、若には届かないんだもの・・
エリィさんのおかげで若達は無事帰ってきた。でも、代わりにエリィさんは連れ去られちゃった。やがて、デウスっていう神様が覚醒して、最後の戦いが始まろうとしてた。デウスを倒して、ボクらの自由を勝ち取るための戦い。フェイさんは我を取り戻して、再びボクたちの元へ帰ってきてくれた。フェイさんがいるとやっぱり心強いよね。そう、フェイさんにとってはエリィさんを助け出すための戦いなんだ。二人は離ればなれだったけど、フェイさんとエリィさんは強く結びつき合ってたと思った。やっぱり二人が羨ましかった。いつも羨ましかった。
デウスとの最後の決戦の前夜、若達がボクの部屋にきてくれた。
「じゃあ、マルー、行って来るからな」
「若!死ぬんじゃないぞ!絶対だぞ」
「当ったり前じゃねぇか!俺は死なねぇ!変なこというんじゃねぇよ!」
「ゴメン・・・。うん・・・そうだよね。きっと帰ってくるよね・・・」
言うつもりはなかったんだ・・だけど、若にもう逢えなくなるんじゃないかと、
すごく不安だったから・・つい言ってしまったんだ。
「帰ってきたらそん時はボク・・・もっと若のそばにいれたらいいなぁ・・なんて」
「わわっ、何言ってんだマルー。やめろって!!」
ダメだなぁ、ボクって・・また若を困らせちゃったじゃないか・・・
若にとってはボクに慕われることはすごく迷惑なんだ・・・わかってたことだったのに・・・
「フフッ、なんちゃって!!若ったら狼狽しちゃって!!」
また涙が出そうだったけど、なんとかそれだけ言い返してこらえたんだ。だって、こんなところでいきなりボクが泣き出したりしちゃったら、若、出撃できなくなっちゃうもの。
若達はみんな出撃していった。エメラダさんもマリアさんだって・・・そういえば、エメラダさん、急に大きくなってびっくりしたよなぁ。でも、すごく羨ましかった。ボクも今すぐ大きくなれたら、もっと若達の役に立てるんだろうなぁ・・そしたら、若はボクの事・・・ああ、ダメだよ、またおんなじ事考えてる。ボクじゃ、ダメなのに、ボクじゃ・・・・
作品名:くもり時々雨 のち 晴れ 作家名:絢翔