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ふざけんなぁ!! 3

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13.世界が終わる日







ねぇ、セルティ。愛情の反対って知ってる?
憎しみなんかじゃない。
欠片も愛せないから『無関心』になれるんだ。

だからね。
憎んでいるのは、情がたっぷり残っている証拠で、その憎しみが強ければ強いほど、愛を凌駕する程、強い情を放つ。
だから私は、【憎しみ】とは、【愛情】と同類語だと断言するよ。



さて、セルティ。
「死んでくれない」と思う程、強い憎しみを帝人ちゃんに滾らせる臨也は一体、彼女の事を二年間、どう思っていたんだろうか。


私は露西亜寿司で確信したよ。
臨也は帝人ちゃんのことが、本気で好きだったとね。
彼自身、気づいていないと思うけど。

好いた人に、想いをやっと返して貰えた静雄は幸せだと思うけれど、帝人ちゃんはこの世に一人しかいない。

あぶれた中二病の男が取る行動なんて、きっと子供のヒステリーと同じ分、性質が悪いと思うんだ。
少年が、好いた女の子を苛めるように、思い通りにならない苛立ちを、相手にぶつける凶悪な駄々っ子になったっておかしくない。

そんなネジくれた臨也にとって、己の失恋なんて、気がついた時はきっと、正に世界が終わったも、同然なんだろうねぇ。
私はその日が来るのが怖いよ。
臨也が自分の気持ちに気がついた時、池袋に何が起こるか想像つかない。



【露西亜寿司の半額Dayにて、臨也と同伴した後、帰宅した新羅が恋人に語った話より抜粋】



★☆★☆★



臨也は己のファーコートで包んだ帝人を、大事にお姫様抱きしたまま、タクシーの後部座席から降りた。

エレベーターで最上階に上がれば、そこは池袋にある臨也の隠れ家の中でも、最もお気に入りなプライベートマンションだ。
勿論、今まで誰一人として、女を連れ込んだ事なんてない。
帝人が初めてで、多分これが最後だろう。


「全部君が悪いんだからね。あはははははは、そうさ、全部全部帝人ちゃんのせいなんだから!!」

狂気混じりで話しかけたって、薬を嗅がされて気絶した少女からは、一切返答はない。
それがまた寂しくて。
今まで過去を振り返り、己の行いを後悔した事なんて全く無かったのに、今では目茶目茶悔いている。

どうして自分は、紀田正臣なんかで遊んでしまったのだろう?
黄巾賊とブルースクウェアの抗争だって、紀田に加担して戦争を激化させ、散々少年達に良い夢を見させ、戦争を煽った末に裏切って見放し、結果的に手駒だった三ヶ島沙樹を死なせた。
ああ、時間を遡れるのなら、そんな小事になんて、絶対首を突っ込んだりしなかったのに。


お陰で今自分は、二年前から目をつけ、大切に育てていた、将来伝説級の『ブラックハット』にもなれそうな、クラッカーの女帝を手に入れ損ねてしまった。

どんなセキュリティも物とせず、楽々好きなだけ情報を引っ張ってこられる彼女を手駒にし、正しく利用できれば、今までと比べ物にならないぐらい、億単位の金や情報が楽々稼げるだろう。
そんな、金の卵をバンバン産める筈の少女は現在、彼女の価値など知りもしない平和島静雄宅で、己の骨まで折られたって健気に尽くし、従順な家政婦を演じている。
アホか。



彼女の居るべき本当の場所は、臨也の元だけ。
今なら十分、軌道修正だってできる筈。



臨也は寝室に彼女を運び込むと、ベッドの上へ横たえ、にぃっと口元を歪めて笑った。


「恨むなら恨め。憎ければ憎め。俺はもっともっと君を憎悪するからさ」


だって竜ヶ峰帝人は、折原臨也の事を、初めて直に会った時から、一度だって信頼してくれなかった。

紀田を陥れた事を今でも憤り、色々仕掛けようにも乗ってこない。
彼だけがじたばた暴れたって、一切合財存在を無視してくれやがり、臨也にはどうすることもできないのだ。

ゲームは一人ぼっちでするものじゃない。
相手がいなくて成り立たない。
ならばせめてネットで繫がりを持とうとしても、この娘はダラーズを紀田に譲った後、静雄の世話ばかり焼いて、ちっとも電脳の世界にすら戻ってきやがらなかった。

三月末以来、放置されてもう三ヶ月が経つ。
臨也の堪忍袋だって、とうとうぶっ千切れた。


「だからこれは君が招いた不幸だよ、帝人ちゃん♪ 俺を徹底的に無視して、静ちゃんばっかに尽くして、俺を全く構ってくれなかった君が悪いんだ」


かつて経験したことが無い程、胸がぎりぎり苦しい。
この胸の痛さに、先に根をあげたのは臨也だ。


この苦しさの正体を、彼はまだ気がつかない。
23にもなって、沢山の少女を食い散らかしてきた彼の、今更ながらの【初恋】だった。



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作品名:ふざけんなぁ!! 3 作家名:みかる