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永久誓約

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降りしきる雨の中、骸と綱吉は人通りのない通りを傘も差さずに歩いていた。正
確には傘など持ってくる暇もなく走ってきたのだ。無我夢中だった。綱吉を追っ
てくるボンゴレの幹部や、獄寺、山本を筆頭とした守護者達から必死に逃れよう
と、走って走って走ってきた。綱吉の息切れの音が聞こえる。骸は荒れた自分の
呼吸を整えて、目を伏せて突然笑いだした。
「・・・クフフ、フフ、クハハハハ!マフィアをこれほどにも毛嫌いしていると
いうのに、よく僕の考えを理解したフリができますよねえ!一生分かり得ないで
しょうに!」
綱吉の方には決して振り向かない。潤んだ瞳がかすかに沸き上がっていた希望を
失ったことを物語る。今にも泣き出しそうな瞳の視線が、痛い。
「・・・帰りなさい、あの守護者達の元へ。君にはいるべき場所があるでしょう
。君がいると足手まといなんです。早く帰りなさい、僕の追っ手も来ます」
思わず掴んでいた綱吉の左手首を離すと、今度は綱吉が骸の学ランの袖を掴んで
きた。
「・・・いやだ」
俯いて、少し控えめに綱吉は言う。決して大きな声ではなかったが、意志の強さ
があった。
「何です、だから足手まといだと――」
「あ、足手まといかも、しれない、けどさ・・・でも、嫌なんだ、嫌なんだよ、
骸の記憶が、これ以上あんなになるの・・・骸と、俺、幸せになりたい」
絶え間なく零れ落ちる涙と、止まらない嗚咽のせいで上手く話せない。涙をぬぐ
い続けたのと、雨に濡れたので袖はびしょ濡れだった。骸の袖を握り締める手は
震えている。骸は驚いて目を見開いた。ボンゴレを出てきた綱吉の覚悟は偽りの
ものではなかった。
「・・・幸せに、ですか。君は僕の過去、この人格を持ってしてもそんなことが
出来ると思ってるんですか」
綱吉は小さく頷く。
「・・・うん、思って、るよ。だ、だって、ずっと一人でいた俺にだって、分か
ったこどだから・・・そうなることは悪いことじゃ、ないって、信じたい。信じ
たって、いいと思う」
復讐者や、リボーンといったボンゴレ側は違うと言う。でも、綱吉は骸と幸せに
なりたかった。幸せになれない人なんていないし、何より骸は綱吉の好きな人だ
。好きな人と幸せになりたいと思うことは間違っていないと思う。今の綱吉には
、行く先を阻む全てのものと戦う意志があった。
作品名:永久誓約 作家名:豚なすび