蒼い季節
落ち込むのも馬鹿らしくなり、相変わらずバシバシ叩く反町の手を払い除け、小池は言い返す。ボンヤリと外を見つめ、そういえば反町も振られたばっかりだっけ、と思い起こす。モテるだけに可哀相な奴かもしれない、とその端整な顔を見つめる。
「反町」
「何だ?」
小池は涙を流さんばかりに笑う反町の肩をポンポンと叩き、悟ったような表情で小池が言った。
「そのうちいいことあるさ」
「あー! 何だよ、それ! すっげムカつく!!」
仕返しとばかりに言われて反町がむくれる。それを見て松木と島野が笑う。小池も、自分で自分を吹っ切るかのように笑った。樹木の合間から教室に漏れる日差しは眩しく、今年も暑い夏が来ることを告げていた。