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ライバル

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反町がふくれっ面で俺に言う。こいつの質問……。

「ああ! …いや、実力、あるだろ? 大体、たとえ日向の変わりだったとしたって、実力がなかったら決勝まで上がってこれなかったはずだろ?」

「…うーん」

いまいち納得いかなそうな表情で反町は考えるので、俺はまた意地悪心が芽生えて言葉を付け足す。

「まぁ、俺の足元程度だけどな」

「あぁ!? フザけんな!」

カッカッカッと笑えば、また表情を変えて俺に食ってかかる。何というか、良いオモチャを見つけた感じだ。チョロッと話した東邦の島野や、今回参加している小池も、こいつのことが面白くてしょうがないという感じだったのが何となくわかる。

「よーし、わかった! どっちが多くレギュラー取れるか、勝負だ、勝負!」

反町がムキになって言う。

「結果はわかってるけど、受けてやるよ」

俺もからかうように言って、反町の反撃を受ける前に身を避けて笑いながら、最初にこいつを見た時に言われた若島津の言葉を思い出す。

『気持ちがわかる』

うん、確かにそうだ。そして、それだけじゃなく、こいつのプレイを見て、それに惹かれた俺がいる。

翼や日向、若林さんみたいにはなれないかもしれないけれど、それでも己を磨き合える奴が俺にもできた。それはとても嬉しく、幸せなことだと、少しだけ思えた。

ずいぶんと大人げないライバルではあるけれど。
作品名:ライバル 作家名:坂本 晶