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【イナズマ】赤いきつねとシングルベッド

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ふと気がつくと周囲はすでに暗くなっていた。
寝ぼけている視界をこすり安定させると、円堂は体を起こす。
薄暗いけれどそこは見慣れたリビングで、他に人の姿はない。

「……夢か?」

そりゃそうだ。
いきなり神様だと名乗る狐の少年が訪ねてきて、自分をここに置いてくれと半ば強引に迫ってくるなんてこと、現実的に考えれば有り得ない。
というかどんな電波さんだ。

大きく伸びをしながら体を起こすと、はさりと毛布が落ちた。
自分で被った覚えがないということは、母親がかけてくれたのかもしれない。
もう帰ってきているのだろうか。
そう言えば台所で気配がする。

「……腹減ったな……」

とたんに空腹を訴えだす胃に、円堂は勢いをつけて起き上がった。
ひょこりと何やら騒がしい台所を覗き込む。

「あはははやだなあ、お母さんったら」
「ほほほほヒロトくんもお上手ねーもっとから揚げ食べる?遠慮しないでね」
「じゃあ、お言葉に甘えて……」

目の前で展開される夢の住人と母親の陽気な夕食風景に、円堂は言葉を失って立ち尽くした。
……なんだ。まだ夢か。

「あ、守、おはよう。どうしたの?狐につままれたみたいな顔しちゃって」

戸口で固まった円堂を見つけたヒロトが、にこにこ笑いながら手招きする。
ふらふらと歩み寄りながら円堂は声を絞り出した。

「……え、何してんの……?」
「何って、お夕飯頂いてたんだよ。ごめんね、先に食べちゃって」

こっちにおいでよ、と、ぱんぱん自分の隣の椅子を叩く赤毛の少年を横目に、円堂は複雑な表情で腰を下ろした。

「夢じゃなかった……」
「うん?なにが?」
「いや、その、なんでも…それよりお前、な、なんで母ちゃんと……」
「守が寝てる間に話をつけたんだ。お母さんが頭の柔らかい人で良かったよ」
「話はヒロトくんから聞いたわよ、守」
「か、母ちゃん……」
「あんたはねー昔からそうだったのよねー道端のお地蔵さまにも手を合わせたり、お堂にお参たりしたりねえ」
「そりゃ……その、風丸がそうするから、ついでにっていうか、癖って言うか……」
「そのおかげで俺は助かったけどね」

うふふ、と口元を隠して笑うヒロトに、母はうんうん、と頷くと、