白紙のページに綴るのは、
「交換日記、しませんか?」
良く晴れたある日の昼休みに、ふと帝人君がそんなことを言い出した。
「………交換日記?」
「知っていますか?」
「いや、それぐらい知っているよ」
「だったら、」
「いや待って、うん待って。あのさ…なんでいきなり?てか今時交換日記って…」
「それは、……」
黙り込んでしまった帝人君は、売店で買ったパンの包み紙をぎゅうっと握りしめて俯いている。
いつも思うんだけどさ、それだけで足りてるの?
だからそんなに細いんだよ、あぁもっと食べさせてあげなきゃ。
そんな帝人君の話には関係ないであろうことを考えながら帝人君の言葉を待つ。
その間も帝人君は少し頬を赤くさせて、視線をそろそろと彷徨わせている。
可愛いなぁ可愛いなぁ、今すぐ押し倒した………いやいやいや落ち着け、落ち着け俺、頼むから。
場所を考えろ、屋上だ此処は。
いくら俺達以外に人がいないからってそれはない、ないない。
いやでも……別に好き合っているんだから、
「………です、」
「へ、…え、?」
「繋がりが、欲しいんです」
「臨也先輩との繋がりが、欲しいんです」
俺が考えている邪なことなんて1ミクロンだって知らないだろう帝人君。
そんな彼の言葉に、俺は暫くの間呼吸をするのも忘れていた、と思う。
――彼は、なんて言った?
(俺との、繋がり…?)
(なにそれ、)
(可愛いんだけど!!!)
今時交換日記とか、さっきまで考えていた邪なこととか全て吹き飛んでしまうくらいの衝撃。
なにその理由可愛いすぎるんだけど、大事なことだから何回でも言うよ、うん可愛い。
その時沸き起こった感情を顔には出さないようにして、至って冷静に問いかける。
「えーと……メールとか、会話とかじゃ駄目なの?」
「…形に残るものがいいんです。それに……、」
「、?」
「……日記を書いてくれている間は、僕のことを想っていてくれるかなって……その」
だんだんと小さくなる何処か幼さの残る声。
帝人君は顔をこれ以上ないくらいに真っ赤にさせて俯いてしまった。
(……あぁ、君は)
「……馬鹿だね、本当」
「ぅ……す、すみませ…」
「違う、謝らなくていい」
(ただでさえ毎日毎日君を想ってやまないっていうのに)
(これ以上俺を溺れさせないでよ)
そんなところがすきなんだけどね、と胸中だけで呟いて笑う。
そしてくしゃりと短く切られた髪を撫でれば、帝人君はきょと、と眼をまんまるにして俺を見上げていた。
「いいよ、」
「ぇ、……?」
「しよう、交換日記」
俺の言葉に帝人君は二、三度口をぱくぱくとさせて、そしてじっと俺を見つめる。
帝人君の青みがかった双眸に俺が映りこんでいた。
それがなんだか可笑しくてまた笑ってしまう。
「…いいんですか?」
「うん、大好きな帝人君のお願いだし。それに、」
途中で言葉を切ると、ぎゅうと細い身体を抱きしめた。
俺の腕の中で「臨也先輩?」と首を傾げる彼の、その愛らしい額にキスを落とす。
「せ、せんぱ」
「俺も、帝人君に想っていてほしいからね」
腕から身体を解放しこつんと額と額を合わせれば、帝人君は一度瞬きをしてふにゃりと柔らかく笑って、
「……先輩、大好きですっ」
そんなことを口にして俺に抱きついてきたもんだから、危うく俺の理性が吹き飛ぶかと思った。
良く晴れたある日の昼休みに、ふと帝人君がそんなことを言い出した。
「………交換日記?」
「知っていますか?」
「いや、それぐらい知っているよ」
「だったら、」
「いや待って、うん待って。あのさ…なんでいきなり?てか今時交換日記って…」
「それは、……」
黙り込んでしまった帝人君は、売店で買ったパンの包み紙をぎゅうっと握りしめて俯いている。
いつも思うんだけどさ、それだけで足りてるの?
だからそんなに細いんだよ、あぁもっと食べさせてあげなきゃ。
そんな帝人君の話には関係ないであろうことを考えながら帝人君の言葉を待つ。
その間も帝人君は少し頬を赤くさせて、視線をそろそろと彷徨わせている。
可愛いなぁ可愛いなぁ、今すぐ押し倒した………いやいやいや落ち着け、落ち着け俺、頼むから。
場所を考えろ、屋上だ此処は。
いくら俺達以外に人がいないからってそれはない、ないない。
いやでも……別に好き合っているんだから、
「………です、」
「へ、…え、?」
「繋がりが、欲しいんです」
「臨也先輩との繋がりが、欲しいんです」
俺が考えている邪なことなんて1ミクロンだって知らないだろう帝人君。
そんな彼の言葉に、俺は暫くの間呼吸をするのも忘れていた、と思う。
――彼は、なんて言った?
(俺との、繋がり…?)
(なにそれ、)
(可愛いんだけど!!!)
今時交換日記とか、さっきまで考えていた邪なこととか全て吹き飛んでしまうくらいの衝撃。
なにその理由可愛いすぎるんだけど、大事なことだから何回でも言うよ、うん可愛い。
その時沸き起こった感情を顔には出さないようにして、至って冷静に問いかける。
「えーと……メールとか、会話とかじゃ駄目なの?」
「…形に残るものがいいんです。それに……、」
「、?」
「……日記を書いてくれている間は、僕のことを想っていてくれるかなって……その」
だんだんと小さくなる何処か幼さの残る声。
帝人君は顔をこれ以上ないくらいに真っ赤にさせて俯いてしまった。
(……あぁ、君は)
「……馬鹿だね、本当」
「ぅ……す、すみませ…」
「違う、謝らなくていい」
(ただでさえ毎日毎日君を想ってやまないっていうのに)
(これ以上俺を溺れさせないでよ)
そんなところがすきなんだけどね、と胸中だけで呟いて笑う。
そしてくしゃりと短く切られた髪を撫でれば、帝人君はきょと、と眼をまんまるにして俺を見上げていた。
「いいよ、」
「ぇ、……?」
「しよう、交換日記」
俺の言葉に帝人君は二、三度口をぱくぱくとさせて、そしてじっと俺を見つめる。
帝人君の青みがかった双眸に俺が映りこんでいた。
それがなんだか可笑しくてまた笑ってしまう。
「…いいんですか?」
「うん、大好きな帝人君のお願いだし。それに、」
途中で言葉を切ると、ぎゅうと細い身体を抱きしめた。
俺の腕の中で「臨也先輩?」と首を傾げる彼の、その愛らしい額にキスを落とす。
「せ、せんぱ」
「俺も、帝人君に想っていてほしいからね」
腕から身体を解放しこつんと額と額を合わせれば、帝人君は一度瞬きをしてふにゃりと柔らかく笑って、
「……先輩、大好きですっ」
そんなことを口にして俺に抱きついてきたもんだから、危うく俺の理性が吹き飛ぶかと思った。
作品名:白紙のページに綴るのは、 作家名:朱紅(氷刹)